2015年1月にECB(欧州中央銀行)が量的緩和を導入して以来、ユーロ圏経済は着実に回復している。量的緩和導入時の記事で、失業率に改善の余地が大いにあるユーロ圏では、労働市場が完全雇用に達している日本よりも速いスピードでインフレ率が改善すると書いたが、それにしても予想以上のスピードである。
物価指標や失業率など、ユーロ圏の各指標を分析したい。先ずはドイツの物価のグラフからである。
2015年1月にECB(欧州中央銀行)が量的緩和を導入して以来、ユーロ圏経済は着実に回復している。量的緩和導入時の記事で、失業率に改善の余地が大いにあるユーロ圏では、労働市場が完全雇用に達している日本よりも速いスピードでインフレ率が改善すると書いたが、それにしても予想以上のスピードである。
物価指標や失業率など、ユーロ圏の各指標を分析したい。先ずはドイツの物価のグラフからである。
周知のように、現在のところ日銀は2%の物価目標が2016年度の始めに達成されるとしており、この言葉を鵜呑みにすれば、遅くとも2016年の初旬には量的緩和の縮小(テーパリング)が議論され始めることになる。
勿論、上記の記事で書いたように、追加緩和なしには物価目標は達成されず、しかも追加緩和は緩和の延長という形で為される可能性が高い。しかし、量的緩和の開始から2年以上が経過した今、日銀が量的緩和の終了に向けて動いた場合に市場がどう動くかを、投資家は考え始めるべきである。
現在の相場では何がバブルで何がバブルではないのだろうか? 株はどうか? 不動産はどうか? 日本国債は暴落するのか? 円は安すぎるのか? 等々、順番に考えてゆきたい。
結論から言えば、日銀の追加緩和はかなりの確率で行われる。しかし時期についてはいくつかの可能性がある。
例えば、2017年末までに追加緩和が行われるかという問いへの答えで言えば、それはほぼ確実にイエスである。しかし、日銀が当初の期限とした2016年の4月前後までに追加緩和があるかということで言えば、可能性は高いが確実ではないといったところだろう。投資家はこれらの予測に従ってドル円の戦略を建てることが出来る。以下に説明する。
さて、いよいよアベノミクスの成否が明らかになってきたという感じだろうか。
5月20日、内閣府は2015年1-3月期のGDP速報値を発表した。実質GDPは前年同期比で-1.45%のマイナスと、消費増税後の落ち込みから脱し切れていない日本経済の姿が浮き彫りとなった。
グラフでは前回のGDP分析と合わせるために前年同期比で見ているが、注意すべきは比較対象の2014年1-3月期は増税前の駆け込み需要で好調だった四半期であるということである。これを考慮すれば実体としては-1.45%というほど悪いわけではないが、日本経済の一番の問題は、成長要因をすべて使い果たした後にこの数字ということである。内訳を見てゆこう。 続きを読む 2015年1Q、日本のGDP内訳: 消費増税後の落ち込みから回復せず、将来への不安を示す
2015年1QのForm 13Fが公開され、機関投資家の3月末における買いポジションが明らかになった。詳細は以下に見てゆくが、引き続き、米国株の暴落を警戒していることが読み取れる。
ソロス氏、アインホーン氏ともに米国株に弱気
先ず、ソロス氏のポートフォリオではS&P 500のプット・オプションが復活しており、11億ドルのポジションとなっている。2014年3Qでは22億ドル、4Qではポジション解消となっていた。
ソロス氏を含め、グローバルマクロの投資家がヘッジ売りをするときにはS&P 500先物の空売りを主に使うため、ソロス氏は、Form 13Fには現れない先物の売りと、上記のプットの買いを織り交ぜながら、臨機応変にポジションをヘッジしているものの、米国株暴落への警戒感そのものは引き続き変わっていないということだろう。 続きを読む Form 13F: ソロス氏は米国株暴落を警戒、アインホーン氏も空売り拡大へ
先ず特筆すべきはポンドの上昇だろう。スコットランドの独立投票からイギリス経済への不安が表出し、1ポンド1.7ドルと割高で取引されていたポンドが調整に入ったのは2014年の夏の話だが、2015年の3月に1.4ドル台に入った時点でポンドの保有を推奨した。
その後イギリスは選挙を迎え、経済界寄りの保守党が過半数を得たことでイギリス経済への信頼が回復、ポンドドルは4月の底値である1.45から1.57まで上昇した。
5月7日、フランクフルト国際空港などを保有・運営するドイツのFraport (XETRA:FRA、Google Finance)は2015年1-3月期の決算を発表、売上高は前年比10.8%増の5.8億ユーロ、純利益は前年比76.7%増の1060万ユーロとなった。決算を受けて7日の株式市場では3.8%高で取引を終えた。以下の紹介記事の時点より9.7%上昇したことになる。
決算の内容としては、原油安による世界的な航空旅客増加の恩恵を受けた形となる。旅客数が前年比2.7%増となったフランクフルト国際空港に加え、70.01%を保有するペルーのリマ国際空港では8.6%の増加、24.5%を保有する西安国際空港では17.6%の増加、10%を保有するインドのデリー国際空港では13%の増加となった。 続きを読む 個別株: ドイツの空港保有会社Fraportは原油安で好決算、米保険会社のLincoln Nationalは債券安で堅調
4月29日に2015年1-3月期の米国GDP速報値が発表された。報道では前期比年率の悪さばかりが報道されているが、前年同期比で見れば2.99%の実質成長と、米国経済の力強さが衰えていないことが確認され、実際ドルも対ユーロを除いて上昇した。
以下に米国GDP成長率の推移を示したグラフを掲載し内訳を見てゆくが、数値はいつもの通り前年同期比である。報道では通常「季節調整済み前期比年率」が使われるが、個人的に統計処理による季節調整を信じていないというのと、また前期が冬場であったため、原油安という特殊要因を誤差なく見極めるためには統計処理に頼らない前年同期比が良いのである。
いまや、日銀が2%の物価を達成すると約束している「2015年度中心とする期間」の終わり(2016年3月末”頃”)まであと1年を切り、そろそろ日銀の次の手を考える時期が来たのではないかと思う。
勿論、このまま追加緩和をせずに量的緩和を終了するということも有り得るが、本稿では先ずどういう追加緩和が考えられるか、そして追加緩和をした場合どういう影響が生じるかを考えたい。日銀が有効な選択肢を持っているかどうかを検討して初めて、日銀が追加緩和をするかどうかを考えられるからである。先ずは日米のマネタリーベース比率からである。
最近、ドル高の話や、利上げ後に急落するであろう金の安値買いの話など、マクロの話が多かったので、久々に個別銘柄の話題である。 続きを読む 個別株レビューと全体の相場観: Micron、イーレックス、S&P 500、DAX