久々の金相場見通しである。金については2015年よりフォローしているが、以下は最近の経済データを踏まえた最新版であり、特に短期的に金価格が下落するリスクに焦点を当てて今後の動向を予測している。やや長い記事になったが、その分詳しく説明できたのではないかと思う。
ジム・ロジャーズ氏: 低金利も米国利上げも世界経済に悪影響
前回に引き続き、Frankfurter Allgemeineによる著名投資家ジム・ロジャーズ氏のインタビュー(原文ドイツ語)をお伝えする。話題ごとに記事を分けて訳している。前回はロジャーズ氏の金価格に関する相場観をお伝えした。
今回は米国利上げである。ロジャーズ氏の意見を順に見てゆこう。
ジム・ロジャーズ氏: それでも金価格は再び1,000ドル以下まで下落する
久々にジム・ロジャーズ氏の新しいインタビューである。
ジョージ・ソロス氏とクォンタム・ファンドを設立したことで有名なロジャーズ氏は、Frankfurter Allgemeineのインタビュー(原文ドイツ語)に答え、金や原油など様々な市場についての相場観を披露している。やや長いので、話題ごとに記事を分けて訳してゆきたい。先ずはロジャーズ氏の金相場に関する予想から見てゆこう。
ドル暴落予想を裏付ける米国GDP: 4-6月期は落ち込み加速、悪化するアメリカ経済見通し
米国経済統計局が7月29日に発表した第2四半期のアメリカ実質GDP成長率の速報値は1.23%(前年同期比、以下同じ)となり、もともと減速が始まっていた前期の確報値1.57%を更に下回る結果となった。2%以上の成長を維持していた昨年から比べると大きな減速である。
米国経済については今のところ去年の末に発表したわたしの見通しの通りに推移しており、今回のGDP統計も全体としてはそれを裏付ける結果となった。
ただ、その内訳に関しては今回解釈の難しい箇所がいくつかあり、それをどう解釈するかによってアメリカ経済の今後を予想できるかどうかが決まると言える。順に内容を見てゆこう。
日銀追加緩和決定: ETF買い入れ増額は株価暴落への序章
7月29日、黒田総裁率いる日銀は、政策決定会合でETFの買い入れ額を増額する追加緩和を決定した。結果発表の少し前に「政府の強い要請を受けて追加緩和を検討」(ロイター)などと報じられた辺りから、やってしまうのではないかと思っていたが、やはりやってしまったようである。
7月FOMC会合結果速報: 声明文ほぼ変わらず、Fedは経済の見通しを立てる能力を失っている
Fed(連邦準備制度)は機能不全ではないのか。要するにイエレン議長は何をすれば良いのか分からないのである。
7月26-27日にアメリカの金融政策決定会合であるFOMC会合が開催され、27日、Fedは金融政策の維持を決定した。タカ派で知られるカンザスシティ連銀ジョージ総裁のみが0.25%の利上げを主張した。
娘のイヴァンカ・トランプ氏: 父は肌の色や性別で人を差別しない
7月19日の共和党大会でドナルド・トランプ氏が正式に共和党の大統領候補として指名され、その後の世論調査ではトランプ氏の支持がヒラリー・クリントン氏の支持を上回るなど、2016年アメリカ大統領選は佳境に達している。
今回の大統領選で大きな論点となることの一つは、トランプ氏の過激な発言だろう。しかし長女のイヴァンカ・トランプ氏は、この記事のタイトルにあるように、一般的なトランプ氏のイメージとは相容れない見方でトランプ氏を見ている。
タイトルの発言は共和党大会でイヴァンカ氏が行ったスピーチのなかに現れたものである。今回の記事ではこの発言の真意と、トランプ氏の選挙戦略における娘イヴァンカ氏の立ち位置について説明してゆきたい。
ヨーロッパ移民問題: ドイツ南部で更に2件の移民による殺傷事件、ニースを含め2週間で5件
つい先日もミュンヘンにおけるイラン人の銃乱射事件について報じたばかりであるが、ほとんど時間が経たない間にまた2件の移民関連の殺人事件を報じなければならない。
ヨーロッパ移民問題: 止まらない大量殺人と性的暴行、今度はミュンヘンでイラン人が銃乱射
米国株高にもかかわらずアメリカが利上げ出来ない理由
2016年に入った時点では数回の利上げを織り込んでいた金融市場は、年明けに世界同時株安が起こったとき、「株安だからやはり利上げは出来ない」とその意見を弱気に転換した。
しかしその後、紆余曲折はありながらも米国株は7月に再び史上最高値を更新する。
では、株安は収まったから利上げが出来るのではないか? 少なくとも市場はそうは考えていないようである。7月22日時点で金利先物市場の織り込む2016年の利上げ回数はゼロ、今後1年という期間で見ても、利上げは1回あるかないかという織り込みである。
ではアメリカは何故利上げが出来ないのか? 株式市場以外に何か理由があるのか? 今回はその辺りの経済データを眺めてゆきたい。