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長期金利が世界的に上昇、単なる調整ではない: 相場観と個別株レビュー

さて、ついに長期金利が上がり始めた。Fed(連邦準備制度)の量的緩和終了後も、欧州の低金利に合わせる形で低く抑えられていた米国の長期金利は、半年ぶりの水準である2.5%まで上がり(債券価格の下落)、何より市場を驚かせたのは、マイナス金利入りも目前かと思われたドイツの10年債が、4月の0.1%から1%まで大幅に上昇したことである。

上記の記事の通り、ドイツの国債は2014年1月にECB(欧州中央銀行)の緩和を一番最初に織り込み始めた金融資産であり、その頃から4月まで、一貫して強い上昇トレンドにあった。

これが短期的な調整かと問われれば、少なくとも下落の意味は重大であると答えたい。量的緩和の最中にこのような下落があるということは、米国債も日本国債も経験してこなかった。ECBが先進国最後の量的緩和であるということ、そしてECBが出口戦略を考えるときに、量的緩和で債券価格を支えてくれる他の国がないということを、投資家が恐れているのである。 続きを読む 長期金利が世界的に上昇、単なる調整ではない: 相場観と個別株レビュー

個別株: ドイツの空港保有会社Fraportは原油安で好決算、米保険会社のLincoln Nationalは債券安で堅調

5月7日、フランクフルト国際空港などを保有・運営するドイツのFraport (XETRA:FRA、Google Finance)は2015年1-3月期の決算を発表、売上高は前年比10.8%増の5.8億ユーロ、純利益は前年比76.7%増の1060万ユーロとなった。決算を受けて7日の株式市場では3.8%高で取引を終えた。以下の紹介記事の時点より9.7%上昇したことになる。

決算の内容としては、原油安による世界的な航空旅客増加の恩恵を受けた形となる。旅客数が前年比2.7%増となったフランクフルト国際空港に加え、70.01%を保有するペルーのリマ国際空港では8.6%の増加、24.5%を保有する西安国際空港では17.6%の増加、10%を保有するインドのデリー国際空港では13%の増加となった。 続きを読む 個別株: ドイツの空港保有会社Fraportは原油安で好決算、米保険会社のLincoln Nationalは債券安で堅調

2015年版、グローバルマクロ戦略によるリスクヘッジを考える

米国では未曾有の金融緩和が終わり、利上げへと動き始めているが、一方でドル高が輸出を軽減しており、遂にはFed(連邦準備制度)もドル高への懸念を表明した。これは利上げ観測の逆戻りを意味する。

米国の利上げが投資家最大の関心事である今、ドル高は利上げへの進捗を測る一種の指標となっており、そのため世界中の金融市場のほとんどがドル高と連動していると言える。

これは投資家にとってそれだけでリスクである。世界中に分散投資をしたポートフォリオであっても、そのすべてがドル高に連動していれば、本当の意味で分散をしていることにはならないからである。例えば、ドル円の買いと日本の輸出株の買いは、資産クラスが違うにもかかわらず、両方ともドル高に正の相関があるポジションであり、言わばドルを二重に買っていることになる。 続きを読む 2015年版、グローバルマクロ戦略によるリスクヘッジを考える

米国株急落を考える: 買い下がるべき銘柄、金への資本逃避など

3月の末となったが、米国株が急落している。25日の株式市場でNasdaqは2%以上の下げ幅となり、S&P 500の-1.46%を上回った。26日には日本の株式市場にも波及し、日経平均は1.39%の下落、弱気相場はヨーロッパ市場にも持ち越され、特にこれまで堅調だったドイツ株の下げ幅が大きい。

2015年の金融市場についてはこれまで書いてきた通りであり、大局的な見方に一切変更はないが、為替や商品先物の動きなど、今回の急落で気になる点についていくつか書いておきたい。 続きを読む 米国株急落を考える: 買い下がるべき銘柄、金への資本逃避など

グローバル・マクロのポートフォリオ構成比率公開、2015年2月

ユーロ圏の量的緩和もようやく通過し、市場は面白い材料に欠けているというのは事実であると思うので、この辺りでポートフォリオの構成比率の公開をしてみたい。ここまでは個別銘柄の紹介などをやってきたが、いつも言及している例の記事で書いたリスク要因によって、ここから先は個別銘柄の選択よりもポートフォリオ全体の構成が重要だからである。

銘柄の保有比率は毎日微妙に調整しているため、リアルタイムの厳密な数字ではなく、2月に入ってからの平均値をおおまかに示したものだが、ポートフォリオの方針は読み取ることができると思う。先ずは銘柄の構成比率からである。 続きを読む グローバル・マクロのポートフォリオ構成比率公開、2015年2月

全般的に割高な米国株、2015年からでも買える銘柄は何か?

サブプライム・ローン危機により世界の株式市場が暴落してから5年間、米国の経済はほかの先進国に先立って回復し、米国株はこれまで著しい上昇を見せてきた。その上昇はかなりの部分、FRB(連邦準備制度)の量的緩和に支えられていて、少し前までは投資家もそれを自覚していたはずなのだが、最近ではそれをすっかり忘れてしまったようである。

したがって、上記の記事では著名ファンドマネージャーがどのような銘柄を空売りしているのかを紹介した。しかし、流動性縮小という需給要因を別にすれば、米国の更なる景気回復は原油安にも助けられ、疑いのないものになりつつある。では、既に上昇してしまった米国の株式市場ではどのような銘柄を買うことができるだろうか? 下記に有望なものをいくつか紹介したい。 続きを読む 全般的に割高な米国株、2015年からでも買える銘柄は何か?