奇妙な動きだが、だからこそ注目しなければならない。
ECB(欧州中央銀行)の利下げが市場の期待に届かなかったこと、そしてOPECが原油減産で同意できなかったことを受け、世界中の金融市場が荒れている。
米国利上げ前にドルが急落、しかもドルが急落しながらドル建ての原油が更に急落するという原則に反した動きだが、そこには意味があるのである。先ずは最近の下落の発端となった原油安から見てゆこう。
奇妙な動きだが、だからこそ注目しなければならない。
ECB(欧州中央銀行)の利下げが市場の期待に届かなかったこと、そしてOPECが原油減産で同意できなかったことを受け、世界中の金融市場が荒れている。
米国利上げ前にドルが急落、しかもドルが急落しながらドル建ての原油が更に急落するという原則に反した動きだが、そこには意味があるのである。先ずは最近の下落の発端となった原油安から見てゆこう。
量的緩和で買えば儲かる相場は終わり、遂に世界の金融市場の終わりが始まった。ここから先は複数のバブルがいつ崩壊するかというカウントダウンの問題である。
米国の中央銀行であるFed(連邦準備制度)は2008年の金融危機以来初めての金融引き締めに動いており、何兆ドルもの貨幣が刷られたあと、その資金が引き揚げられるのだから、ただで済むわけがないのだが、市場は8月からの世界同時株安が反発したことで利上げを織り込んだとの自信を強めている。
しかし、そのような大きな材料がたかだか15%の株の急落で織り込まれるはずがない。では本当の問題は一体何で、これから市場はどうなってゆくのか、投資家はどうトレードすれば良いのかを、順を追って説明しようと思う。
10月30日の日銀決定会合の結果は追加緩和見送りと目標達成後ずれ容認となり、以下の2つの記事で事前に報じた通りとなった。
追加緩和のほうは10月にはないと書いた通りだが、日銀は市場で期待されていた追加緩和を見送る代わりに、2%のインフレ目標達成の時期を2016年度前半から2016年度後半へと先送りした。こちらはロイターで報じられていた通りである。
以下は1時間足のドル円のチャートだが、結果的にドル円の水準はほとんど変わらず、120円台を維持している。
米国の中央銀行、Fed(連邦準備制度)は米国時間で10月27日から28日、金融政策決定会合であるFOMC会合を行い、利上げについて議論を行う。結果は28日に発表される。
個人的には10月の利上げはないと考えており、市場の意見も同様のようである。金利先物市場は10月利上げの確率を5.7%としている。利上げがないと考える理由は以下の通りである。
第一に、Fedから次の会合で利上げをするというメッセージが出ていない。Fedが金融引き締めに動く際には、市場を驚かせないよう事前に記者に情報をリークするなどして、投資家に心の準備をさせるものであるが、現時点でFedのそういう動きは見られていない。
さて、世界中の金融政策が微妙な状況となってきた。大筋ではトレンドがほとんど変わっていない米国の雇用統計にもかかわらず、Fed(連邦準備制度)は利上げをするかどうかを曖昧にしている。彼らはより良い経済指標を待っているのか? 個人的な推測によれば、そうではない。Fedは恐らくある程度の株安を望んでおり、それが持続することを目指しているのである。
これらの記事で説明したように、Fedの目的が利上げそのものではなく株安そのもの、つまり量的緩和バブルのガス抜きであるならば、株安が継続する限り今年中の利上げは必ずしも必要ではないということになる。その場合、ドル円や金はどうなるだろうか? 利上げの延期は日銀の追加緩和にも影響するのか? 今回の記事ではこれらの点について考察したい。
米国の利上げについてはここでも様々記事を書いてきたが、9月16-17日のFed(連邦準備制度)のFOMC会合を間近に控え、著名投資家たちも自身の意見を表明しているので、これらを纏めてレビューしておこう。
ジム・ロジャーズ氏
先ずはYahoo! Financeのインタビューに答えているジム・ロジャーズ氏からである。彼は利上げ後の市場については弱気派であり、Fedは金融政策を逆戻しする羽目になると主張する。 続きを読む 米国利上げに関する著名ファンドマネージャーたちの見解
米国の利上げが近づくにつれて、金や原油などコモディティ市場が暴落している。債券投資家のビル・グロス氏などは商品価格の下落に長期的なデフレ圧力を見、また、ここの記事でも商品市場暴落の意味するものを説明してきた。
しかし、フォーブスによるインタビュー(英語)によれば、ジム・ロジャーズ氏はコモディティ市場の超長期的な上昇サイクルは終わっておらず、現在の下げ相場は一時的な調整だと見ている。また、ロジャーズ氏は中国株を保有していることでも知られており、記者からは中国株の上昇とコモディティ価格の上昇が両立するのかという疑問が投げられた。彼はこう答えている。
2015年ももう後半であり、金融市場は金や原油などコモディティ価格の下落、米国の利上げ、中国株の暴落など、様々なトレンドが入り混じる様相を呈している。
これまでの単なる量的緩和相場とは異なる状況であり、単純に中央銀行に従っていれば利益が出るという状況ではない。そこで、ここで一度、世界の金融市場を俯瞰してみたい。個別銘柄よりもマクロ的分析が必要な場面なのである。
米国株
先ず、マクロで見れば米国株は買う理由のない資産クラスである。量的緩和が終わり、利上げを控えていることで、株式から債券への資金流出が懸念されている。ファンダメンタルズで見ればバブルではないが、割高であることは確かである。
さて、金価格の下落が始まったようである。2015年に入ってから概ね1150-1250ドルのレンジで推移していた金価格は、7月に入り徐々に下がり始め、20日には遂に1100ドルを割り込んだ。まだ暴落とは言えないが、ここ最近では見ていない急落ではある。
以前にも書いた通り、金価格の下落は米国の利上げ前の既定路線であるが、新たな要素として、今回の急落には米国だけではなく中国の景気減速も絡んでいるので、上記の記事に書いた買い下がりのレンジの見直しなども含めて、金の今後について書いてゆきたい。
米国の量的緩和によって2012年に史上最高値1,921ドルを記録した金の価格上昇は、Fed(連邦準備制度)の量的緩和終了とともに終わりを告げ、金は2013年から2015年にかけて急落、1,200ドル前後まで値を落としている。金は、金融緩和によって通貨が価値を下げるときに買われ、そして通貨の価値が戻るときに売られるのである。
量的緩和を既に停止した米国に続き、日本の量的緩和も2年の期間の半分が終了した。ユーロ圏の量的緩和も2016年の9月が目処である。それでは2015年以降の金価格はどうなるのか? 金は更に下落するのか? 答えは条件付きのイエスである。すなわち、世界的な量的緩和が無事に出口を迎えれば、金の価格は更に下落するだろう。しかしながら、その前提が不可能であることは、これまで何度も記事にしてきた。 続きを読む 金はいつ買うべきか?: 2015年以降の金融市場暴落を逃れるために