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2016年米国利上げ予想とインフレ率推移の見通しについて

2016年、米国は利上げを行おうとしている。アメリカ経済は減速しているが、食品とエネルギー価格を除いたコアCPI(消費者物価指数)は上昇に転じており、このインフレのトレンドが長期的なものであれば、Fed(連邦準備制度)は経済の減速にもかかわらず、利上げを強行する必要に迫られる可能性がある。

そこでこの記事では一度、アメリカのインフレ率の現状とその展望、想定される利上げの時期や回数、そして利上げとインフレ率が株価やドル、金価格などに及ぼす影響を論じてみたいと思う。

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2016年円高の原因: ドル円暴落を予想すべき理由と、米国利上げ見通しについて

まだドル円の上昇を長期トレンドと信じている投資家も居るのかもしれないが、そろそろ真逆の見通しを真剣に考え始めるべき頃合いだろう。

ドル円に関しては2015年末よりドル高トレンドは反転すると主張してきたが、最近の動向を見ていると、量的緩和が行われている円やユーロがむしろ買いである可能性があると思うようになってきた。つまりドル高が終わりを告げるだけでなく、円安も危ういということである。両サイドからの圧力はドル円にとって厳しい状況となるだろう。

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3月の米国FOMCは利上げなし、結果発表後の世界の金融市場チャートを見る

3月15日から16日まで行われた米国FOMCの金融政策決定会合では、政策金利の維持が決定された。決定は満場一致ではなく、カンザスシティ連銀総裁のジョージ氏が0.25%の利上げを主張したが否決された。ジョージ氏はタカ派で知られる。

発表された声明は下記の記事で取り上げた1月のものとあまり変わっていないが、原油価格や株式市場が反発したにもかかわらず、「世界経済と金融市場の動向は引き続きリスクとなっている」との表現を記載し、1月に引き続き市場への配慮を示した。

現在の市場の回復を考えれば、個人的にはFed(連邦準備制度)はもっとタカ派になって良いと考えていたので、その予測からすれば今回の発表はハト派ということになるだろうか。市場もそのように受け取ったようであり、ドルが下落、金価格などが上昇している。順にチャートを見てゆこう。

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2016年ドル円の推移予想: 下落は円高ではなくドル安が原因、そしてドルの見通しは暗い

2016年始めからの世界同時株安を受け、ドル円の動きが低迷している。去年から言い続けてきた通り、今年の相場のキーワードはドル高反転であり、そもそも未だに「アベノミクスによるドル円上昇」という古いトレンドにしがみついている投資家はその時点で間違っているが、ここの読者であればその心配はないかと思う。

しかしながら、それでも日本の友人たちから良く聞かれるのはドル円の相場見通しであり、個人的にはドル円という美味しくない通貨ペアをどうこうするつもりはないのだが、それでも考察は可能であるので、ドル円の動向とレンジ予想について記事を書いてみたい。ポイントは、どれだけ円安になるかということと、ドル高がいつまで続くかということを明確に分けることである。

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2月10日イエレン議長の議会証言は中身の無い雑談: 利下げ、マイナス金利、世界同時株安の原因について

2016年1月から始まった世界同時株安が収拾を見せていないなか、米国時間2月10日にFed(連邦準備制度)のイエレン議長がアメリカの議会で証言を行った。あまりに中身がなく無意味な内容だが、しかしそれは同時に、来たるべき市場暴落が来た時に適切に対応する能力が中銀に欠けていることを明確に示している。

議題は多岐に及んだが、その中でも重要な利下げ、マイナス金利、金融市場の混乱についてのイエレン氏の発言を取り上げよう。

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金融市場に隷属する中銀: マイナス金利に踏み込んだ日銀の追加緩和が示す株式市場の先行き

この程度の株安で追加緩和を使ってしまった。これが1月29日の日銀の追加緩和を目にした時のわたしの第一印象である。

2016年1月からの世界同時株安を受け、長らく沈黙していた日銀がついにマイナス金利という追加緩和を行った。発表時には市場はやや乱高下したものの、結局は株高円安で反応した形となっている。

マイナス金利の実体経済への影響やドル円については上記の記事で十分に書いたので、今回は株式市場、特に量的緩和バブルにおいて今回の緩和がどういう立ち位置のものになるかについて説明してゆきたい。

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1月FOMC会合結果速報: 利上げはなし、世界経済と金融市場への懸念を表明

米国時間1月27日、Fed(連邦準備制度)は金融政策決定会合であるFOMC会合を行い、2015年12月に引き上げた政策金利をそのまま維持することを全会一致で決定した。

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ラリー・サマーズ氏: 米国の利上げは困難、ドル高で米国の需要は海外に流出する

米国の元財務長官で著名な経済学者であるラリー・サマーズ氏がCNBCの番組においてFed(連邦準備制度)の金融政策を批判している。

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世界同時株安で米国利上げはどうなる?: 市場急落で金利先物市場の利上げ織り込み回数が減少

報じているように、年初より株式市場が荒れているが、投資家にはS&P 500や日経平均の数字よりも注目すべきものがある。フェデラルファンド金利先物市場に織り込まれている米国利上げの回数である。

2015年12月に既に行われた1回の利上げを含め、米国の中央銀行であるFed(連邦準備制度)は2016年末までに4回の利上げを予定しているが、市場はそれをどれだけ信じているだろうか? 市場急落前の12月の数字も含め、市場の織り込みがどう変わったかを見てゆきたい。

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量的緩和バブルを崩壊させるポートフォリオ・リバランスの逆流

2016年最初の記事は、2016年で一番重要な話題から始めよう。

2008年、サブプライム・ローン危機に晒された経済を支えるため、Fed(連邦準備制度)は世界大戦時以来のゼロ金利を敢行した。米国において、これは1929年の世界恐慌から1945年の終戦の前後にかけて行われたゼロ金利以来であり、実に約60年ぶりのことであった。米国の政策金利の長期チャートは以下の通りである。

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