2015年第4四半期のGDP速報値でアメリカ経済の減速が確認されたことにより、元々保有していた金のポジションを拡大した。米国の利上げが金融緩和に逆戻りするとの確信を得たからである。
2008年の金融危機の後、米国の量的緩和で暴騰した金価格は、Fed(連邦準備制度)が量的緩和を停止し、更には利上げへと進んだことで半値近くに暴落している。しかし米国の利上げは成功しない。そしてそうなれば金価格は再び高値へと向かうだろう。
2015年第4四半期のGDP速報値でアメリカ経済の減速が確認されたことにより、元々保有していた金のポジションを拡大した。米国の利上げが金融緩和に逆戻りするとの確信を得たからである。
2008年の金融危機の後、米国の量的緩和で暴騰した金価格は、Fed(連邦準備制度)が量的緩和を停止し、更には利上げへと進んだことで半値近くに暴落している。しかし米国の利上げは成功しない。そしてそうなれば金価格は再び高値へと向かうだろう。
この程度の株安で追加緩和を使ってしまった。これが1月29日の日銀の追加緩和を目にした時のわたしの第一印象である。
2016年1月からの世界同時株安を受け、長らく沈黙していた日銀がついにマイナス金利という追加緩和を行った。発表時には市場はやや乱高下したものの、結局は株高円安で反応した形となっている。
マイナス金利の実体経済への影響やドル円については上記の記事で十分に書いたので、今回は株式市場、特に量的緩和バブルにおいて今回の緩和がどういう立ち位置のものになるかについて説明してゆきたい。
世界経済は冗談のような大嘘に満ちている。量的緩和は財政ファイナンスではなく、中国経済は年率7%成長しており、金融緩和は通貨切り下げ競争ではないというものである。
量的緩和は国債を政府ではなく市場から買い入れれば財政ファイナンスではないとされ、中国経済の成長率は他国の要人さえ7%前後を前提に発言している。通貨切り下げ競争に至っては、デフレや失業率など自国内の口実さえ思いつけば金融緩和は通貨切り下げではないとされ、米国は日本やユーロ圏の量的緩和を非難せず、中国の控えめな金融緩和のみを非難している。
こういう子供でも分かるような大嘘を政府が付かなければならないのは、その背景に彼らにとって重要な意図と行動があるからであり、世界経済はそういった意図に基づいて動いてゆくのである。本稿ではこういう嘘がどういう背景で運営されているかを明確にし、それが金融市場に与える影響を考察する。
ユーロが着々と下落している。ECB(欧州中央銀行)による量的緩和は、1月の発表当時で既にそのほとんどが為替相場に織り込まれていたが、ユーロドルが1.10を割った今もユーロの下落の勢いは止まらない。
これはドラギ総裁にとっては実は吉報ではない。日銀の黒田総裁が原油価格の下落について述べた「前年比で見た影響はいずれ剥落してゆく」という言葉が、ユーロ安のインフレ率への影響にも当てはまるからである。 続きを読む ユーロ圏の量的緩和が停止に追い込まれる可能性
2015年の金融市場はブラックマンデー当時の相場と似ているとの指摘が各所から出ている。チャートの類似を指摘する声もあれば、ボラティリティの上昇を指摘する声もあるが、ファンダメンタルズにおいてどう類似しているのかを詳細に観察するレポートが出回っていないと感じているので、先ずは1987年に起こったブラックマンデーのマクロ経済学的背景を説明しておきたい。
ブラックマンデーについては、一般的には解明されていない点が多いとされているが、一部の優れた投資家は事前に予測していた事案であり、ファンダメンタルズと投資家の心理の観点から説明が可能である。暴落の背景には1981年に米国の大統領に就任したレーガン大統領のレーガノミクスがあるので、先ずはここから始めたい。 続きを読む プラザ合意からブラックマンデーまでを振り返る
ユーロの下落が止まらない。前回の記事に書いた通り、ユーロは下落を続けており、1つの理由は、ユーロ圏の人々が通貨安によって自分の資産が損なわれてゆくのを回避するため、ユーロ圏の人々がユーロを売っているからだと推測している。日銀が量的緩和を始めた時のジョージ・ソロスのコメントを引用しよう。
円が下落し始めれば、日本国民は円が下がり続ける可能性が高いと気付き、自分たちの資金を海外に移そうとするだろう。そうすれば、円は雪崩を打って下落する可能性がある。(CNBCによるインタビュー)
これは、日本国民の国民性を考慮していなかったために正しくなかったが、今回のユーロ圏の量的緩和には非常によく当てはまっていると言える。この文化的な背景については前回の記事に書いたが、ではヨーロッパ人はユーロ安から逃れるために何を買っているのか? いくつかの候補を挙げてみよう。 続きを読む ユーロ圏の人々が通貨安回避のために買う通貨・銘柄は?
ユーロの下げ方がちょっと尋常ではない。ECB(欧州中央銀行)がついに量的緩和を決定したことで材料出尽くしとなり、ユーロドルは1.12前後の水準をうろうろしていたが、2月の雇用統計がFed(連邦準備制度)の6月の利上げを支持する内容となったことでドル高が再び進行、ユーロドルはついに1.10の壁を下回り、放物線を描きながら下落している。
ユーロに関しては、これまで一貫して下がり過ぎを主張してきた。上記の記事の通り、マネタリーベースで見れば、ユーロドルの適正値は量的緩和を完全に織り込んだ状態で1.15程度であり、量的緩和が開始されたばかりの3月に1.10を下回るのは相当の下落速度である。米国の利上げについても、他の通貨に比べユーロだけ織り込みが早過ぎる。ここまで考えてようやく気付いたことがある。 続きを読む 2015年にユーロ危機再発の兆候あり