パナマ文書の裏に潜む諸大国の野心: オフショアとタックスヘイブンをめぐる競争

これでアメリカの一人勝ちが確定か、というのがパナマ文書について聞いた時のわたしの第一印象である。プライベート・バンキングに詳しくない人々には何を言っているのか分からないだろうと思う。

順に説明しよう。2016年4月、パナマにある法律事務所Mossack Fonsecaの機密書類と思われるデータ2.6TBが、匿名の情報提供者によって南ドイツ新聞の記者Bastian Obermayer氏のもとに持ち込まれた。このデータにはMossack Fonsecaが登記したと推定されているオフショア会社の情報が含まれている。

各国首脳や著名人およびその近親者がオフショアを利用していたとのことで話題になっているが、ただ状況を説明しただけの記事はほかに沢山出ているから、この記事ではパナマ文書の背景にある各国の思惑について解説してみたい。それぞれの国が著名人の租税回避行為を批判しているように見えながら、本当に考えていることは別にあるのである。

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