ヨーロッパが移民殺到で混乱の極地に達している。経済的に見た場合、ヨーロッパには本来移民受け入れ能力はないのだが、ヨーロッパの知識人の意見は倫理観と現実問題の間で揺れているようである。ヨーロッパの移民問題に関する個人的な意見は一貫しており、受け入れるならば計画的に、そうでなければ初めから受け入れられないと宣言することである。
しかし、そもそもヨーロッパでは、シリア問題が悪化する前から移民の問題は存在していたのである。流入数や失業率などのデータを挙げることは出来るが、ヨーロッパの移民の現状は日本の読者の多くには馴染みがないだろうから、一つイタリアでの出来事について話してみたい。