株式市場の全ポジションを一旦閉じることにする。これまでにも言及してきたが、米国株と米国の金融政策を巡る状況が予定よりも早く次の段階へ進みつつあるからである。先ずは2015年11月に立てた2016年の投資戦略を振り返ってみたい。
この記事に書いた2016年の米国株の見通しは、10%から30%程度の急落は起こりうるが、バブルの完全な崩壊はまだ起こらず、しかし株価は上昇もしない、というものであった。その後、株価はどうなったか?
株式市場の全ポジションを一旦閉じることにする。これまでにも言及してきたが、米国株と米国の金融政策を巡る状況が予定よりも早く次の段階へ進みつつあるからである。先ずは2015年11月に立てた2016年の投資戦略を振り返ってみたい。
この記事に書いた2016年の米国株の見通しは、10%から30%程度の急落は起こりうるが、バブルの完全な崩壊はまだ起こらず、しかし株価は上昇もしない、というものであった。その後、株価はどうなったか?
2016年も半ばに差し掛かっているが、この辺りで著名ファンドマネージャーたちの2016年相場見通しを振り返り、どれだけ当たっているかを採点してみようと思う。
ここでも随時取り上げてきた通り、年末から年始に掛けて、様々な著名投資家が2016年の金融市場を占っていたわけだが、その後の相場の推移はどうなっただろうか? ジョージ・ソロス氏やジム・ロジャーズ氏など、著名人の予想の結果を見てゆきたい。
2016年、米国は利上げを行おうとしている。アメリカ経済は減速しているが、食品とエネルギー価格を除いたコアCPI(消費者物価指数)は上昇に転じており、このインフレのトレンドが長期的なものであれば、Fed(連邦準備制度)は経済の減速にもかかわらず、利上げを強行する必要に迫られる可能性がある。
そこでこの記事では一度、アメリカのインフレ率の現状とその展望、想定される利上げの時期や回数、そして利上げとインフレ率が株価やドル、金価格などに及ぼす影響を論じてみたいと思う。
2016年1月のダボス会議でのジョージ・ソロス氏のインタビューについては既に報じているが、過去の記事に取り上げなかった部分で今後の世界経済の見通しを占うために重要だと思う箇所があったので、再度取り上げたい。以下は1月の記事である。
現在、金融市場は分岐点にいる。世界同時株安の後、米国株は持ち直し、中国バブル崩壊への市場の懸念も後退した。アメリカのインフレ率はエネルギー価格を除けば上昇している。このまますべてが上手く行くのだろうか? 利上げは順調に進むのだろうか? 投資家は判断を下さなければならないが、ソロス氏のアメリカ経済に対する見通しは非常に悲観的である。
2016年の世界経済については様々議論してきたが、今回は著名ファンドマネージャーのジョージ・ソロス氏の再帰理論を使って米国経済の現状を分析してみたいと思う。
3月15日から16日まで行われた米国FOMCの金融政策決定会合では、政策金利の維持が決定された。決定は満場一致ではなく、カンザスシティ連銀総裁のジョージ氏が0.25%の利上げを主張したが否決された。ジョージ氏はタカ派で知られる。
発表された声明は下記の記事で取り上げた1月のものとあまり変わっていないが、原油価格や株式市場が反発したにもかかわらず、「世界経済と金融市場の動向は引き続きリスクとなっている」との表現を記載し、1月に引き続き市場への配慮を示した。
現在の市場の回復を考えれば、個人的にはFed(連邦準備制度)はもっとタカ派になって良いと考えていたので、その予測からすれば今回の発表はハト派ということになるだろうか。市場もそのように受け取ったようであり、ドルが下落、金価格などが上昇している。順にチャートを見てゆこう。
世界最大のヘッジファンド、Bridgewaterを率いるレイ・ダリオ氏が、Bloombergのインタビュー(原文英語)で、米国の株式市場と米国利上げ、そして先進国経済の長期停滞について語っている。
ダリオ氏は、これまで量的緩和による株式の上昇相場を引っ張ってきたポートフォリオ・リバランスの正循環が終わっていないと主張する。これが正しければ、年始から荒れている株式市場は、必ずしも下落に向かわないということになる。
ジョージ・ソロス氏が上記の記事で表現していたように、2016年の世界経済のキーワードはデフレである。設備投資と不動産バブルで生きながらえてきた中国経済のバブルが崩壊しつつあることだけではなく、先進国の成長率とインフレ率はともに長期的に低下している。米国の政策金利のチャートが下がり続けていることが象徴的だろう。
量的緩和やマイナス金利を活用しても経済成長が回復しないならば、各国政府はどうすればいいのか? リフレ政策を続けるべきなのか? 著名債券投資家ビル・グロス氏の答えは否である。
最近の市場の動きを見ているとそう思うようになってきた。
勿論、米国が利上げに進むにつれて量的緩和バブルが崩壊に近づいていることや、中国経済が本当はマイナス成長かもしれないということは市場や経済にとって本質的な問題ではあるのだが、それが即資産価格の下落に繋がるかと言えば、必ずしもそうではない。
何故日銀のマイナス金利は効かなかったのか? これは直接的には日本の長期金利が下がる以上に米国の長期金利が下がったために、円安になった以上にドル安になったからだが、問題の本質は恐らくそこにはないのである。
長期停滞論とは、労働市場の改善のみを見て経済は安泰であるとする世界の中央銀行に対し、世界経済はより深刻な需要不足を抱えていると指摘する経済学者ラリー・サマーズ氏の仮説である。
労働市場のみを重視する従来の手法はバーナンキ氏やイエレン氏など中央銀行側に多く見られる一方で、サマーズ氏の悲観的な見方には有力なヘッジファンド・マネージャーらが同調しており、彼らはその仮説に基づいて悲観シナリオに自らの資金を賭けている。経済学の学説を巡る中央銀行とヘッジファンドの高尚な戦いが、現在の金融市場では繰り広げられているわけである。
これについてはずっと書かなければならないと思っていたが、丁度Equitable Growthのインタビュー(原文英語)でサマーズ氏自身が長期停滞論について分かりやすく説明しているので、これを紹介しておこうと思う。長期停滞が昨今の世界同時株安に繋がった仕組みなども説明されている。以下、注釈など途中で入れずに主な部分をそのまま訳して掲載する。