これには驚いた。1月15日、スイス国立銀行(スイスの中央銀行)が対ユーロの上限レートを撤廃したことにより、スイスフランはユーロに対して一時30%上昇した。EUR/CHFのチャートはここで見ることができるが、1日であまりに動いたためチャートの体をなしていない。要するにスイス国立銀行が自国の通貨安介入に失敗したため、スイスフランが急上昇したということなのだが、これまでの経緯も含めて下記に説明してゆく。これはユーロや欧州株、ひいては世界の金融市場にとって重要な意味をもつ出来事である。 続きを読む スイスフランが1日で30%急騰、欧州相場で何かが起こる前触れか
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ジョージ・ソロスがスコットランド独立問題を語る
著名投資家のジョージ・ソロスがフィナンシャル・タイムズ(原文英語)でスコットランド独立問題を論じている。 続きを読む ジョージ・ソロスがスコットランド独立問題を語る
フランスの生産力再建相更迭はユーロ圏の未来を暗示する
イギリスに続きフランスでも内閣改造が行われ、政府の財政緊縮政策を批判していたモントブール生産力再建相が更迭された。モントブール氏は先日、ドイツは「緊縮財政という「妄想」によってユーロ圏経済を破壊している」(フィナンシャル・タイムズ)と発言し、物議を醸していた。左派の中でも雄弁であった彼の更迭により、もとより支持率が17%と低いオランド政権の更なる政権弱体化が懸念されている。モントブール氏が更迭後に反緊縮派の擁護に回り、右派と左派の対立が強まれば、最終的には解散総選挙もありうるだろう。彼の更迭による緊縮派・反緊縮派の対立激化はユーロ圏の結末を暗示している。 続きを読む フランスの生産力再建相更迭はユーロ圏の未来を暗示する
イギリスは内閣改造でEU懐疑派議員を外務大臣に採用へ
15日、イギリスのキャメロン首相は内閣改造を発表した。外務大臣、国防大臣、教育大臣、保健大臣、環境大臣などの人事変更が行われているが、この中で重要なのは外務大臣に就任したフィリップ・ハモンド氏である。
以前保守党の党首も務めたウィリアム・ヘイグ氏に代わって任命されたハモンド氏はEUの統合深化に懐疑的な姿勢で知られており、テレグラフ誌によるインタビュー(英語)において、ほかのEU諸国との交渉への意気込みを語っている。インタビュー映像からいくつか発言を引用する。 続きを読む イギリスは内閣改造でEU懐疑派議員を外務大臣に採用へ
EU首脳会議はユンケル氏を欧州委員長に指名、安定成長協定の柔軟運用も確認
26-27日に開かれたEU首脳会議では、大方の予想通り元ルクセンブルク首相のユンケル氏が欧州委員長として指名された。欧州理事会によって指名された候補は欧州議会によって承認される見通し。また、イタリアのレンツィ首相の主導により、EU加盟国の財政赤字を制限する「安定成長協定」の柔軟な運用が議論され、財政赤字がGDP比で3%以内の国に対して財政再建を猶予する規定の積極利用が確認された。順にこれらの決定をレビューする。 続きを読む EU首脳会議はユンケル氏を欧州委員長に指名、安定成長協定の柔軟運用も確認
スペインとポルトガルの資金繰りは改善している
12日にはスペインとポルトガルの財政について前向きなニュースがロイターにより報じられた。先ず、スペインは10年債を発行し、短期国債からの乗り換えを行った。90億ユーロの募集に対して180億ユーロ以上の応募が投資家から寄せられた。ECB(欧州中央銀行)の金融緩和を受け、スペイン国債の利回りが低下していることから、現状はスペインにとっては、以前発行された利回りの高い短期債から長期債に乗り換え、短期的な債務懸念を払拭する好機である。 続きを読む スペインとポルトガルの資金繰りは改善している
ECBがマイナス金利とLTROを発表、マネタリーベースを拡大へ
5日に開かれたECB(欧州中央銀行)の会合では、中銀預金金利が0%から-0.1%に引き下げられ、マイナス金利が導入された。これを受けてユーロドルは1.356まで下がり、その後ドラギ総裁の会見が始まると1.3503まで下落、しかしその後速やかに値を戻し、現在では会見前の水準を上回る1.366付近で取引されている。
この会見での一番の要点は4,000億ユーロのTLTRO(局所的長期資金供給オペ)であろう。これは決して少ない額ではなく、マネタリーベースを34%前後引き上げる効果がある。 続きを読む ECBがマイナス金利とLTROを発表、マネタリーベースを拡大へ
欧州は分裂するのか?: 欧州議会選挙後の各国の政治動向
欧州議会選挙のあと、EUが各国に課してきた緊縮財政、低インフレ政策への反発が増し、スペインやポルトガルでは早速雇用創出や減税などへの動きがロイターで報じられている。
とりわけスペインは動きが早く、63億ユーロの雇用創出案と法人税の減税を来週承認する予定である。南欧に資金をシフトした投資家は報われることになりそうだ。選挙の結果も含め、欧州議会選挙後の各国の動向を下記にまとめる。 続きを読む 欧州は分裂するのか?: 欧州議会選挙後の各国の政治動向
OECDレポート: ドイツが世界2位の移住先に
OECDによれば(原文英語)、2012年のドイツへの移民の数は40万人増加し、アメリカ合衆国に次ぐ世界2位の移民受け入れ国となった。ドイツは2009年には8位であった。移民のうち30万人はEUからの移民であり、背景には、ユーロ圏の経済停滞のため、東欧や南欧から失業者が職を求めてドイツへと流れ込んでいることが考えられる。
イタリアの失業率は12%、スペインの失業率は25%で高止まりしており、堅調な回復を見せるドイツ経済の労働市場を抑圧し、これが昨今のユーロ圏の低インフレに繋がっていると想定される。
何度も指摘されているように、共通通貨としてのユーロの欠陥は、各国が各国の状況に応じた金融政策を実行できないことにあり、とりわけドイツがインフレを嫌っていることから、ECB(欧州中央銀行)の動きは後手に回らざるを得ない。来月の政策決定会合での対応が期待されるが、このような失業率の高止まりを単純な利下げで抑制することは不可能であろう。
日銀の黒田総裁が2%達成後の物価について言及
ロイターによれば、日銀の黒田総裁は講演のなかで、消費者物価は目標の2%を達成したあとも強含んで推移するとの見方を示した。これは日銀が緩和終了後の物価の強含みについてもある程度許容する見通しを示したという点で意義がある。
日銀はこれまで物価が2%の目標に達するまで緩和をするとの意思を示していたが、物価は金融緩和の遅行指標であるため、緩和終了後も物価上昇率はある程度上がり続ける公算が高い。これを日銀が許容する場合、物価は2.5%に近づいてゆくこととなり、その場合現在0.6%前後で推移している長期金利は、緩和終了の事実そのものもあり、かなり上昇せざるを得ないことになる。国債先物の空売りのタイミングが近づいている。