世界同時株安は日本市場で止まることなく、月曜の日経平均は-4.61%の下落となり、リスクオフによって売られたドル円は一時120.20近くまで落ち込んだ。
上記の記事ではドル円の買い下がり開始を120前後と説明したので、そのポイントに到達したことになる。この120というポイントは随分前からドル円の買い下がり開始点として言及しており、なかなか到達しないのでしびれを切らした読者もあるかもしれないが、この保守的な設定には理由があったのである。
世界同時株安は日本市場で止まることなく、月曜の日経平均は-4.61%の下落となり、リスクオフによって売られたドル円は一時120.20近くまで落ち込んだ。
上記の記事ではドル円の買い下がり開始を120前後と説明したので、そのポイントに到達したことになる。この120というポイントは随分前からドル円の買い下がり開始点として言及しており、なかなか到達しないのでしびれを切らした読者もあるかもしれないが、この保守的な設定には理由があったのである。
米国利上げ前の世界的な株式市場急落は、ここでもずっと言及してきたことで、読者のなかに驚きはないだろうが、それでも良い銘柄まで売られている現状ではパニックになりかねないので、長期的に何が不変なトレンドで、急落のなか何を拾えばいいのかを再度纏めておこう。
円安トレンドは不変
先ず、リスクオフでどれだけ円高になろうとも、万一米国が利上げを撤回しようとも、円安は不変のトレンドである。
中国が人民元の基準値を2%切り下げたことによって各国の株式市場が下落している。切り下げの経済への影響は各国様々であるが、基本的には以下の通りである。
中国に関して一番心配されているのはドル建て債務の増加である。通貨切り下げは中国の輸出業の助けになるが、米国の利上げによる中国の債務バブル(株式バブルではない)崩壊が懸念されているなかで、ドル建ての債務が増えることが致命傷になる可能性がある。
利上げとは、自国の経済の状況に照らして中央銀行が自分の裁量で決められるものと思われがちだが、実際はそうではない。他の中央銀行の状況によって大きく左右されるのである。
事実、Fed(連邦準備制度)は利上げの必要性に迫られており、米国が株式市場や債券市場の暴落を望まない限り、実際のところFedに選択肢はない。そして中央銀行に選択肢がない状況とは、投資家が中央銀行の動きを予想できる状況であり、グローバル・マクロ戦略にとって格好の投資機会なのである。
ドル高についてはこれまで、ドル高が行き過ぎればFedは利上げを止めるどころか量的緩和を再開することもできると書いてきたが、債券投資家のグロス氏などが主張するように、どうやらFedは量的緩和の危険性に気付いているようであり、しかもその副作用を最小限に押さえるため、随分前から準備をしてきたようである。
7月8日の日経平均は600円安、3%以上の急落となった。上海市場は5.9%安と、中国政府の介入にもかかわらず暴落が止まらない。
折しも前日の記事で弱気相場を示唆したところで、タイミングが良すぎたのだが、もう一度その部分を引用しよう。
株式市場の世界的な荒れ模様とは対照的に、個人的には金融市場はあまりに凪であると思っている。ポジションをほとんど持っていないからである。個別株は別として、マクロ的なポジションはほとんど精算してしまった。投資先が見つからないのである。
株式は高すぎ、債券はバブルであるが一度の利上げでは揺るがず、ドル円もユーロドルもまだ高く、金の買い時はまだであり、ギリシャの株式市場は閉まっている。ポジションをこれほど精算したのは、2013年5月の日本市場の急落前以来である。
かくして2013年5月以来の急落となりそうである。
債権団の要求にNoを宣言したギリシャの国民投票から2日が経ち、ユーロ圏各首脳が交渉に向けて動きを見せている。
先ず、これには驚いたが、バルファキス財務相が辞任した。国民投票後の交渉で、ドイツのショイブレ財務相らと折り合いの悪いバルファキス財務相が交渉の場に行くのはギリシャにとって不利に働くとツィプラス首相が判断したためで、事実上の更迭である。
ギリシャの国民投票の開票作業がほぼ終わったようである。開票結果は、出口調査の通り債権団の要求に反対する内容となり、Yesが38%に対してNoが62%、反対派の圧勝となった。ツィプラス首相やバルファキス財務相はTwitterで勝利を宣言している。
予定通り、ギリシャはここから債権団との交渉に臨んでゆくことになる。バルファキス財務相は月曜日の合意も不可能ではないと述べていたが、国民投票の結果をドイツが受け入れるにはもう少しの時間が必要だろう。
国民投票は債権団の最終提案に対する是非を問うものであるため、ギリシャは債権団から譲歩を引き出せなければ合意ができない状況となった。最終提案の内容は以下の記事にある。
現在の金融市場では、株は高過ぎ、しかし空売りするには早すぎ、債券はバブルであり、為替はイベントがなく、金の買い場はまだ先であるという、グローバル・マクロの投資家にとって日照り続きの状況にあるが、ギリシャの国民投票をめぐる市場の混乱が事態を少し打開するのではないかと考えている。
国民投票は現地時間の7月5日に行われる。本稿では国民投票が債権団の提案に賛成した場合、反対した場合にそれぞれ何が起きるのかを纏め、それぞれの場合にどう投資すべきなのかを記しておきたい。
事前の調査では賛成と反対が拮抗
ユーロ問題の経済的背景については何度も書いてきたから、今回はその文化的背景について書いておこうと思う。メインテーマはドイツの外交的・歴史的立場についてである。
ヨーロッパ文化におけるドイツ
古来よりヨーロッパ文化の中心はイタリアであり、フランスであり、イギリスであった。ヨーロッパの料理はイタリアを起源とするものであり、フランス人がそれを継承してイギリスの宮廷に持ち込んだ。ドイツやオーストリアでも、宮廷ではフランス料理が振る舞われた。
音楽ではモーツァルト、ベートーヴェンの時代においてもイタリアのオペラが尊敬されていた。モーツァルトのオペラにイタリア語のものとドイツ語のものがあるのは、彼の時代においても、ドイツ語は歌謡としてはあまりに粗野であるという認識が、ドイツ語圏の宮廷内にあったためである。 続きを読む ユーロ問題の文化的背景: ドイツの外交音痴が治らない限りユーロ圏はギリシャ問題を何度でも繰り返す
ギリシャが債権団の要求を飲むかどうかについて国民投票を行うと発表したことを受け、ギリシャのデフォルトが現実的となり、日本市場ではリスクオフの円高・株安となっているが、先ずドル円については120円を下回れば買いである。
ギ リシャの経済規模はあまりに小さく、ユーロ圏の1.7%であり、遠く離れた日本の金融市場は勿論、ユーロドルやユーロ圏経済のファンダメンタルズ自体に影響を与えることはできない。したがって、ドル円に関する見方は変わらず、以前書いた通り、115-120での買いは長期的に報われる可能性があるというこ とである。 続きを読む ギリシャデフォルト懸念で円高: ドル円、株式市場、債券市場はどうなるか?