2016年はこれまで金投資を主なポジションとしてきたが、米国の利上げが佳境を迎えていることを踏まえ、新たなポジションを開始する。米国株の空売りと米国債の買いである。
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アメリカ経済見通し: 低金利と原油反発が辛うじて支える第3四半期GDP
わたしを含め、米国利上げの先行きを見守る投資家が心待ちにしていた7-9月期アメリカGDP速報値が発表された。実質GDP成長率は1.50%(前年同期比、以下同じ)となり、前期の確報値1.28%からやや持ち直したものの、昨年末にわたしが減速を予想して以来、アメリカの経済成長率は強いとは言えない状態が続いている。
Fed(連邦準備制度)のイエレン議長は明らかにアメリカ経済の減速を気にしているが、1.50%という数字は利上げを決めるにも撤回するにもやや中途半端な数字であり、したがっていつものように内訳を見てゆく必要がある。
ECBのドラギ総裁、長期停滞論を否定
ECB(ヨーロッパ中央銀行)のドラギ総裁がベルリンで講演を行い、ユーロ圏で量的緩和によって実現されている低金利は恒常的なものではないとの発言を行った。先進国経済が長期的な低成長のトレンドに陥っているとする、いわゆる長期停滞論を認めるような講演を先日行ったFed(連邦準備制度)のイエレン議長とは好対照となる。
このドラギ総裁の発言はユーロ圏の長期的な金融政策を占う上で重要となる可能性がある。
日銀、物価目標の達成時期を先延ばしの可能性も
NHKの記事だが、余りにも間が抜けているので笑ってしまった。日銀の黒田総裁によれば「物価上昇率がマイナスに陥っていることを考えると、(達成時期の)修正もありうる」だそうである。現在マイナスのインフレ率が来年にはいきなり2%になっている見込みが万一危ういものだとすれば、確かに修正も「ありうる」だろう。こういう馬鹿なことを言っているから市場に見放されるのである。
明らかに長期停滞論を意識しているイエレン議長
フィッシャー副議長に続き、次はイエレン議長である。アメリカの利上げが議論されるなかで、わたしが2015年末から主張し続けてきたアメリカ経済の長期的減速トレンドが、Fed(連邦準備制度)の高官たちによってようやく認識されようとしている。
バーナンキ前議長やECB(欧州中央銀行)ドラギ総裁を教え子に持つことで知られるフィッシャー副議長が、アメリカ経済は長期的な減速局面にあるとするいわゆる「長期停滞論」に言及したことは既に報じたが、今度はイエレン議長である。
イエレン議長はボストン連銀が主宰する会議で講演を行った(原文英語)。昨今の経済減速は金融危機の余韻が続いているものであるとして分析する内容であり、タイトルは「金融危機後のマクロ経済研究」となっている。イエレン議長が2008年のリーマンショックを意識していることが伺える。
リーマンショックで急落した金価格、上昇した米国債
引き続き2008年のサブプライム・ローン危機の検証である。前回の記事では株式市場のバブル崩壊に先立ってアメリカの住宅価格バブルが下落を開始していた様子を説明した。
しかしバブル崩壊時に価格が上昇するものもある。今回は2008年前後における金相場とアメリカ長期国債の動きを検証したい。どちらも金融危機を原因として長期的な高騰を見せたことは同じなのだが、短期的には正反対の動きを見せている。
量的緩和バブルの終焉: もし日銀がすべての国債と株式を買い入れたら
多くのファンドマネージャーが指摘するように、現在の相場は株式も債券もすべてがバブルである。著名債券投資家のビル・グロス氏は量的緩和によって人工的に押し上げられた資産価格を「カジノのような市場」と呼び、ジョージ・ソロス氏は2008年の再来と呼んだ。
しかしそのバブルが具体的にいつ崩壊するのかという点については、それぞれの投資家は別の見解を持っているだろう。
金価格と一緒に下落したものは? 世界の金融市場チャート一覧
金価格の下落については既に報じたが、この下落は基本的には利上げ観測の高まりによるアメリカ長期金利の急騰に反応したものであり、その意味では金利上昇に金融市場の他の部分はどう反応したのかを比較検討する必要があるだろう。
そして様々な市場を比較しながら眺めたとき、ふと不気味に思うことを見つけたので、今回はその点に重点を置きながら話をしたい。以下、順に様々なチャートを比べてゆく。
雇用統計は無視していい、アメリカ利上げとは関係がない
2016年9月分の米国雇用統計が10月7日発表された。市場の一部ではまだ雇用統計が米国利上げに関係すると考えている層がいるようなので、少しだけコメントしておこう。
フィッシャー副議長がついに長期停滞論に言及、利上げと低金利継続で割れる理事会を象徴
10月5日、Fed(連邦準備制度)のフィッシャー副議長がニューヨークで講演(原文英語)し、アメリカ経済の恒常的停滞の可能性、つまり米国元財務長官ラリー・サマーズ氏が主張する長期停滞のリスクに言及した。
つい先日、サマーズ氏がブログでFedは世界経済の長期停滞を認めるべきだと主張しており、サマーズ氏の名前を挙げて長期停滞のリスクに言及したフィッシャー副議長はそれに明確に答えた形となる。アメリカ経済の長期停滞についてはこれまでブレイナード理事などが言及してきたが、フィッシャー副議長はバーナンキ元議長やECBのドラギ総裁らを教え子に持つことで知られ、影響力の強いフィッシャー氏がそのリスクについて明言したことは今後のアメリカの利上げ観測を占う上で大きな事項であると言える。