「債券市場」カテゴリーアーカイブ

日銀、物価目標の達成時期を先延ばしの可能性も

NHKの記事だが、余りにも間が抜けているので笑ってしまった。日銀の黒田総裁によれば「物価上昇率がマイナスに陥っていることを考えると、(達成時期の)修正もありうる」だそうである。現在マイナスのインフレ率が来年にはいきなり2%になっている見込みが万一危ういものだとすれば、確かに修正も「ありうる」だろう。こういう馬鹿なことを言っているから市場に見放されるのである。

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明らかに長期停滞論を意識しているイエレン議長

フィッシャー副議長に続き、次はイエレン議長である。アメリカの利上げが議論されるなかで、わたしが2015年末から主張し続けてきたアメリカ経済の長期的減速トレンドが、Fed(連邦準備制度)の高官たちによってようやく認識されようとしている。

バーナンキ前議長やECB(欧州中央銀行)ドラギ総裁を教え子に持つことで知られるフィッシャー副議長が、アメリカ経済は長期的な減速局面にあるとするいわゆる「長期停滞論」に言及したことは既に報じたが、今度はイエレン議長である。

イエレン議長はボストン連銀が主宰する会議で講演を行った(原文英語)。昨今の経済減速は金融危機の余韻が続いているものであるとして分析する内容であり、タイトルは「金融危機後のマクロ経済研究」となっている。イエレン議長が2008年のリーマンショックを意識していることが伺える。

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リーマンショックで急落した金価格、上昇した米国債

引き続き2008年のサブプライム・ローン危機の検証である。前回の記事では株式市場のバブル崩壊に先立ってアメリカの住宅価格バブルが下落を開始していた様子を説明した。

しかしバブル崩壊時に価格が上昇するものもある。今回は2008年前後における金相場とアメリカ長期国債の動きを検証したい。どちらも金融危機を原因として長期的な高騰を見せたことは同じなのだが、短期的には正反対の動きを見せている。

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量的緩和バブルの終焉: もし日銀がすべての国債と株式を買い入れたら

多くのファンドマネージャーが指摘するように、現在の相場は株式も債券もすべてがバブルである。著名債券投資家のビル・グロス氏は量的緩和によって人工的に押し上げられた資産価格を「カジノのような市場」と呼び、ジョージ・ソロス氏は2008年の再来と呼んだ。

しかしそのバブルが具体的にいつ崩壊するのかという点については、それぞれの投資家は別の見解を持っているだろう。

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金価格と一緒に下落したものは? 世界の金融市場チャート一覧

金価格の下落については既に報じたが、この下落は基本的には利上げ観測の高まりによるアメリカ長期金利の急騰に反応したものであり、その意味では金利上昇に金融市場の他の部分はどう反応したのかを比較検討する必要があるだろう。

そして様々な市場を比較しながら眺めたとき、ふと不気味に思うことを見つけたので、今回はその点に重点を置きながら話をしたい。以下、順に様々なチャートを比べてゆく。

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フィッシャー副議長がついに長期停滞論に言及、利上げと低金利継続で割れる理事会を象徴

10月5日、Fed(連邦準備制度)のフィッシャー副議長がニューヨークで講演(原文英語)し、アメリカ経済の恒常的停滞の可能性、つまり米国元財務長官ラリー・サマーズ氏が主張する長期停滞のリスクに言及した。

つい先日、サマーズ氏がブログでFedは世界経済の長期停滞を認めるべきだと主張しており、サマーズ氏の名前を挙げて長期停滞のリスクに言及したフィッシャー副議長はそれに明確に答えた形となる。アメリカ経済の長期停滞についてはこれまでブレイナード理事などが言及してきたが、フィッシャー副議長はバーナンキ元議長やECBのドラギ総裁らを教え子に持つことで知られ、影響力の強いフィッシャー氏がそのリスクについて明言したことは今後のアメリカの利上げ観測を占う上で大きな事項であると言える。

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金価格下落の理由、今後の相場予想とバブルシナリオ再点検

金価格が急落した。金相場だけではなく円やユーロなども下落しているため、利上げ懸念が再燃してドル高になったと簡単に説明することも出来るが、ゴールドに賭けている投資家にとっては金価格に影響を与える経済指標の短期的推移を厳密に点検した上で、金相場の状況がどうなっているのかをより詳細に把握しておくべきだろう。そうでなければ上がり下がりを曖昧に理解したまま一喜一憂する賭博師になってしまう。

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元米国財務長官サマーズ氏: アメリカの利上げは不要、現行の金融政策は矛盾している

元米国財務長官で経済学者のラリー・サマーズ氏が自身のブログ(原文英語)でアメリカの金融政策を担うFed(連邦準備制度)に対して苦言を呈している。Fedは長らく利上げを行うと主張してきているが、その目的は2015年12月に一度利上げをしたのを最後に果たされていない。

サマーズ氏は以前よりFedの経済モデルが時代遅れのものであり、世界経済に存在するデフレリスクを適切に考慮していないとして批判を続けてきたが、今回の記事ではFedの抱える矛盾をよりあからさまに指摘している。

記事ではサマーズ氏はFedに対して4つの注文を付けている。以下、順に見てゆこうと思う。

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日銀の総括検証は緩和縮小か、量と金利の景気刺激効果の比較

日銀は2016年9月の決定会合で金融政策の総括検証を行い、これまでマネタリーベースを増やす量を調節することで緩和の度合いを操作していたものを、これからは長期金利に目標を定めて国債の買い入れを行うことで緩和を行うという金利操作目標を導入すると発表した。

これを受けて市場はやや困惑している。発表直後には1-2円ほど円安で反応したドル円も、その時の水準から徐々に下落しつつある。

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