新型コロナウィルスの世界的流行で株を空売りして大儲けしたジェフリー・ガンドラック氏が4月中の株価再下落を予想している。長期的な見通しもこれまでの株価反発予想を撤回したようなものになっており、ガンドラック氏は今年2月の高値が日本株にとっての1989年になると思っているようである。
ガンドラック氏の株安予想
ガンドラック氏は動画放送で次のように言っている。
株式相場は4月中にもう一度パニック的な状況に陥る可能性が高い。
株価は3月中旬の底を多分もう一度取ってくるだろう。抵抗のあるゾーンまで戻ったが、相場は引き続き機能不全を続けるだろう。3月の底値を更新し、それがもう少ししっかりした底値となるはずだ。
株式市場は3月にパニック的な底値を迎えた後、一応は反発している。
ガンドラック氏はここからもう一度底値を更新すると主張している。
一方でその4月の底が「もう少ししっかりした底値」になると言っていることから以前の株価反発予想と整合するとも言えるが、ガンドラック氏のトーンは全体的に弱気になっている。
米国株の長期的天井
特に長期見通しに関してはそうである。ガンドラック氏は次のように主張する。
株価は前の高値には長い間戻らないだろう。特に実質ベースでは。
「特に実質ベースでは」という付け足しが面白い。ガンドラック氏はインフレを予想しているのである。ここ数日、ここではヘリコプターマネーがインフレをもたらすかどうかという議論を紹介しており、ガンドラック氏は物価上昇を予想しているようである。
株価についてはガンドラック氏は米国株にとって2月のこの高値が日本にとっての1989年になると考えているようである。
日経平均は1989年のバブル崩壊後、その高値を一度も取り戻していない。
ガンドラック氏は米国株の長期下落の原因として、新型コロナの影響が長引くことを挙げている。
米国経済は現状よりは良い場所に戻るだろうが、2020年1月の水準にV字回復することはない。
失業率は10%に達するだろう。
財政政策と金融政策による景気刺激は10兆ドルに達するだろう。ここからそれほど遠い数字でもない。
ガンドラック氏は2020年のアメリカの経済成長率が3%のマイナス成長になると予想しており、この状況を不況と呼ぶべきだと言っている。
経済は莫大な犠牲の時期のあとにようやく今より良い場所に戻るだろう。
荒波を乗り越えた後、一番の勝者になっているのはアメリカ経済かもしれない。
それでも経済は回復するとガンドラック氏は考えているのである。今年はこれから大きなチャンスの生まれる状況になるとも言っていることから、底値はまだ先で、そこから回復はするが年始の状況には戻らないと言いたいのだろう。
ちなみに筆者の見通しはガンドラック氏よりも強気であり、1月から主張してきた通り4月前後がピークとなると考えている。つまりもう一度株価が下がるとすればそれは買い場であり、筆者は買い方としてその状況を望んでいる。理由は以下の記事で詳しく説明しているので、興味のある読者は参照してほしい。