さて、数日ごとに報じているアメリカとヨーロッパの新型コロナウィルス感染者数だが、アメリカで大きな進展が見られている。一方でヨーロッパでは数日前の記事からあまり進展が見られておらず、やや足踏みしている様子である。
まずはヨーロッパから見てゆきたい。最初はイタリアの数字である。
- 3月16日: 27,980人 (+3,233 +13%)
- 3月17日: 31,506人 (+3,526 +13%)
- 3月18日: 35,713人 (+4,207 +13%)
- 3月19日: 41,035人 (+5,322 +15%)
- 3月20日: 47,021人 (+5,986 +15%)
- 3月21日: 53,578人 (+6,557 +14%)
- 3月22日: 59,138人 (+5,560 +10%)
- 3月23日: 63,927人 (+4,789 +8.1%)
- 3月24日: 69,176人 (+5,249 +8.2%)
- 3月25日: 74,386人 (+5,210 +7.5%)
ヨーロッパにおける流行拡大の震源地となったイタリアでは既にピークを迎えたと言って良いのだろう。増加数は21日に6,500人を超えた後、5,000人前後で推移を続けている。全土の封鎖措置がいつ解除できるかはまだ不透明だが、峠は超えたと言って良いのではないか。
しかしその他の国では数日前からあまり進展が見られない。以下はドイツの数字である。
- 3月17日: 7,156人 (+1,144 +19%)
- 3月18日: 8,198人 (+1,042 +15%)
- 3月19日: 10,999人 (+2,801 +34%)
- 3月20日: 13,957人 (+2,958 +27%)
- 3月21日: 16,662人 (+2,705 +19% バイエルン州で外出制限)
- 3月22日: 18,610人 (+1,948 +12% 3人以上の会合禁止)
- 3月23日: 22,627人 (+4,017 +22%)
- 3月24日: 27,436人 (+4,809 +21%)
- 3月25日: 31,554人 (+4,118 +15%)
- 3月26日: 36,508人 (+4,954 +16%)
ドイツでは全国単位での外出禁止などはまだ行われていない。しかし3人以上で集まることは禁止されており、数字を見る限りではその措置はある程度機能しているように見える。
しかし感染者の増加数はやや上昇しているように見え、今後数日で5,000人以上に上がる可能性は低くないように思える。まだピークとは言えないだろう。
次はフランスである。
- 3月16日: 6,633人 (+1,210 +22%)
- 3月17日: 7,730人 (+1,097 +17% 不必要な外出の禁止)
- 3月18日: 9,134人 (+1,404 +18%)
- 3月19日: 10,995人 (+1,861 +20%)
- 3月20日: 12,612人 (+1,617 +15%)
- 3月21日: 14,459人 (+1,847 +15%)
- 3月22日: 16,689人 (+2,230 +15%)
- 3月23日: 19,856人 (+3,167 +19%)
- 3月24日: 22,302人 (+2,446 +12%)
- 3月25日: 25,233人 (+2,931 +13%)
全国的な店舗閉鎖と外出禁止というドイツよりも厳しい措置を行なっており、増加数の推移は健闘している。このまま23日の3,167人がピークとなる可能性もあるが、今後更新されたとしても3,000人台前半がピークとなりそうである。ほぼピークと言えるが、断定にはあと数日のデータが必要だろう。
ヨーロッパにおける感染者数は落ち着いてきてはいるが、ドイツでもフランスでもピーク前後を右往左往しており数日前に比べて確実な進展は見られていない。
一方で感染者の急増が続いていたアメリカではようやく減速の気配を見せ始めている。
- 3月16日: 4,372人 (+875人 +25%)
- 3月17日: 5,656人 (+1,284人 +29%)
- 3月18日: 8,074人 (+2,418人 +43%)
- 3月19日: 12,018人 (+3,944人 +49% カリフォルニア州で不必要な外出禁止)
- 3月20日: 17,439人 (+5,421人 +45%)
- 3月21日: 23,710人 (+6,271人 +36% イリノイ州、ニュージャージー州で不必要な外出禁止)
- 3月22日: 32,341人 (+8,571人 +36% ニューヨーク州で不必要な外出禁止、必需品以外の店舗閉鎖)
- 3月23日: 42,749人 (+10,408人 +32% ワシントン州、コネチカット州などで封鎖措置)
- 3月24日: 52,685人 (+9,936人 +23% マサチューセッツ州、デラウェア州などで封鎖措置)
- 3月25日: 64,661人 (+11,976人 +23%)
40%台、30%台の急激な増加はようやく止まったようで、ヨーロッパの増加率に近づいてきた。増加数はまだ着実に上がっているが、この分だと4月前半にはピークを迎えそうである。アメリカでもピークまでの道のりが明確になってきたのは市場にとっても確かな材料である。
株式市場への影響
ヨーロッパでは足踏み、アメリカでは改善といったところだろうか。しかし着実にピークが見え始めている。
投資家は恐らく投資を既に始めるべきなのだろう。流行のピークが株価の底値であるという1月からの予想は維持しているが、1日単位で正確に流行のピークが株価の底になるという話ではない。どちらかと言えば市場が早めに織り込み始める可能性のほうが高いだろう。
ピークが4月前半であると仮定すると、ここから買い始めて4月半ばに買い終わるぐらいの時間感覚でポートフォリオを構築して行けば流行のピーク付近で買えるということになるだろう。
ただ、時間が経過すればするほど悪いニュースが出てくる可能性が高いことは留意しておかなければならない。例えば米国のシェール企業がいくつか破綻することは恐らく不可避であり、何処かのタイミングでそのニュースが出た時に株式市場も急落する可能性がある。
また、世界中で住宅市場が危機的状態となっている。ホテルに客が入っていないのと、一時的に仕事がなくなり住宅ローンを返済できない消費者がいるためと思われる。不動産市場で破綻のニュースが流れることもあり得るだろう。
買い方としては株価にここからもう一度大きな急落をしてもらえると大変助かるが、そういうチャンスがある場合にもない場合にも適切にポジションを取っていけるようにしたい。
また、流行のピークでそもそも株価が反発するのかということについては以下の記事を参考にしてもらいたい。
何人かの著名投資家も言っているが、これはなかなかない買い場である。