新型コロナ、米国の感染者数急増止まらず ヨーロッパはピーク近し

新型コロナウィルス肺炎のアメリカでの流行が止まらない。感染者数は既に3万人以上に達しており、しかも拡大速度が他の国に比べてかなり急速である。金融市場はこの状況をかなり心配しており、米国株は下落を続けている。

一方で国単位の封鎖措置を既に行っているヨーロッパでは流行減速の兆しが見られており、ピークがかなり近いと思われる。投資家としては暴落した資産の買いに入る準備をしなければならないかもしれない。

アメリカでの流行拡大

アメリカにおける感染者数だが、直近10日のものは次のようになっている。

  • 3月13日: 2,163人 (+565 +35%)
  • 3月14日: 2,825人 (+662 +31%)
  • 3月15日: 3,497人 (+672 +24%)
  • 3月16日: 4,372人 (+875 +25%)
  • 3月17日: 5,656人 (+1,284 +29%)
  • 3月18日: 8,074人 (+2,418 +43%)
  • 3月19日: 12,018人 (+3,944 +49% カリフォルニア州で不必要な外出禁止)
  • 3月20日: 17,438人 (+5,420 +45%)
  • 3月21日: 23,709人 (+6,271 +36% イリノイ州、ニュージャージー州で不必要な外出禁止)
  • 3月22日: 33,546人 (+9,837 +41% ニューヨーク州で不必要な外出禁止、必需品以外の店舗閉鎖)

40%の増加をほぼ連日キープしており、この増加率をあと5日続けると感染者数は18万人に達することになる。

封鎖措置としては週単位での外出禁止や店舗の封鎖が行われているが、全国規模ではない。店舗の封鎖などは市単位となっているところもあり、対応はまちまちである。ただ、40%の増加率を考えるとその対応では十分ではないということだろう。

封鎖が効き始めたヨーロッパ

一方で、既に多くの国で封鎖が実行されているヨーロッパではその効果が出始めているようである。ヨーロッパではイタリア北部から流行拡大が始まったが、その分イタリアではかなり早くから全土の封鎖が行われている。その結果感染者数は次のように推移している。

  • 3月13日: 17,660人 (+2,547 +17%)
  • 3月14日: 21,157人 (+3,497 +20%)
  • 3月15日: 24,747人 (+3,590 +17%)
  • 3月16日: 27,980人 (+3,233 +13%)
  • 3月17日: 31,506人 (+3,526 +13%)
  • 3月18日: 35,713人 (+4,207 +13%)
  • 3月19日: 41,035人 (+5,322 +15%)
  • 3月20日: 47,021人 (+5,986 +15%)
  • 3月21日: 53,578人 (+6,557 +14%)
  • 3月22日: 59,138人 (+5,560 +10%)

イタリアではもしかすると既にピークが来ているのかもしれない。増加数が5,000人台で止まっている。外出禁止と店舗の閉鎖という閉鎖措置は明らかに効いている。他の国も見てみたい。

次はドイツである。

  • 3月13日: 3,062人 (+693 +29%)
  • 3月14日: 3,795人 (+733 +24%)
  • 3月15日: 4,838人 (+1,043 +27%)
  • 3月16日: 6,012人 (+1,174 +24% 近隣国との国境閉鎖)
  • 3月17日: 7,156人 (+1,144 +19%)
  • 3月18日: 8,198人 (+1,042 +15%)
  • 3月19日: 10,999人 (+2,801 +34%)
  • 3月20日: 13,957人 (+2,958 +27%)
  • 3月21日: 16,662人 (+2,705 +19% バイエルン州で外出制限)
  • 3月22日: 18,610人 (+1,948 +12% 3人以上の会合禁止)

ドイツでは強力な封鎖措置が行われておらず、若者は禁止される前にパーティを開くなど好き放題やっていたが、20日にメルケル首相が国民が自制しなければ強制措置を発動すると言ったことが効いたのか、21日から増加率が目に見えて減少している。

次はフランスである。

  • 3月13日: 3,661人 (+785 +28%)
  • 3月14日: 4,499人 (+838 +23%)
  • 3月15日: 5,423人 (+924 +20% 必需品以外の全店舗の閉鎖)
  • 3月16日: 6,633人 (+1,210 +22%)
  • 3月17日: 7,730人 (+1,097 +17% 不必要な外出の禁止)
  • 3月18日: 9,134人 (+1,404 +18%)
  • 3月19日: 10,995人 (+1,861 +20%)
  • 3月20日: 12,612人 (+1,617 +15%)
  • 3月21日: 14,459人 (+1,847 +15%)
  • 3月22日: 16,018人 (+1,559 +11%)

こちらもイタリアと同じくピークに達しているのだろう。1,000人台で増加数が止まっている。これは相場が次の場面に移るかもしれない。

結論

イタリア、ドイツ、フランスがピークに近いからといって、ヨーロッパ全体がピークに達しているわけではない。これらの国はヨーロッパで最初に感染が広がった国であり、後発組のスイス(7,245人)やオランダ(4,216人)などが残っている。恐らくヨーロッパ全体のピークは4月前半となるだろう。そして相変わらずアメリカでの急増は止まっていない。

しかしそろそろ金融市場も次のフェーズに進むかもしれない。アメリカとヨーロッパにおける流行のピークが株安のピークだという1月からの予想に従えば、暴落している資産を買い始める準備をしておくべきだろう。

何を買うべきかについてはまだ分析が必要である。しかし暴落している原油の買いについては議論の余地がないように思える。

原油相場の現状については以下の記事に纏めてある。

株式などその他の資産については新型コロナで資金繰りが悪化している企業の問題が金融危機に派生するかどうかが問題となる。

しかし新型コロナ相場もいよいよ佳境となってきた。投資家はあと1週間ほどで心を決めなければならないようである。