新型肺炎で原油価格暴落、今後の動向と推移予想

中国武漢発の新型コロナウィルス肺炎で金融市場は様々な影響を受けているが、一番典型的なものは原油相場だろう。中国国内で空港が閉鎖されたり中国発着のフライトがキャンセルされたりしているため、輸送に使われる原油の消費量が減少すると考えられているのである。

新型肺炎の影響

飛行機が飛ばなくなって一番直接的な影響を受けるのは航空株であり、航空株については一番最初に報じている。

中国では都市間の移動も激減しているため、航空株だけではなく高速鉄道(日本の新幹線に相当)関連株も暴落している。筆者は基本的にこの暴落を買い場だと考えており、コロナウィルス関連では他にも報じるべきことが多いが、やはりまずは原油価格について報じておかなければならないだろう。

新型肺炎で原油価格暴落

では原油価格は現在どうなっているだろうか? チャートを見てみたい。

年始から20%以上の下落となっている。

新型肺炎は確かに原油相場にネガティブな影響を及ぼすだろうが、それでも今年限りの短期的な需要減少になるだろう。実際に2003年のSARSの時にも原油価格は結局回復している。

2003年5月がSARSのピークである。

しかしこの時もピークまでに原油価格は30%下落したことは確かである。現在の下落幅は20%であり、新型肺炎のピークは数ヶ月先だと想定するとまだ底値ではないだろう。

原油価格の底値

では原油価格は何処まで下がれば買えるだろうか? 原油価格のチャートをより長期で見ると次のようになる。

2015年前後の大暴落はシェールオイルの供給過剰によるものであり、2018年後半は世界同時株安による下落である。これらに比べると現在の下落はまだ小幅である。

2016年の安値では30ドルを下回ったが、シェール企業が生存できないことは既に試験済みであると言える。したがってそこまで下がればファンダメンタルズ的には下げ過ぎだろう。

また、2018年の底値は40ドル前半だが、この辺りは米国のシェール企業の損益分岐点でもある。つまり、ここより下がるとシェール企業は利益がほとんど出せなくなる。シェール企業が立ち行かなくなれば供給が減少し、価格はいずれ上がり始めるだろう。

結論

よって原油価格は30ドルから40ドル前半で安い水準だと言えるだろう。ここより下がる可能性としては新型肺炎のピークと株安が重なるシナリオなどが考えられるが、今のところ2020年に株式市場の本格的な暴落はないと予想している。

しかし肺炎の流行リスクについては欧米ではまだ過小評価されているだろう。これからどうなるか、引き続き注視してゆきたい。