米国時間1月28日から29日にかけて米国の中央銀行Fed(連邦準備制度)は金融政策決定会合であるFOMC会合を実施し、政策金利の維持を決定した。Fedは昨年の3度の利下げの後当面金利を維持する姿勢を示しており、決定は市場の予想通りである。
しかし今回の会合で一番重要なのは題名に書いた通りだろう。他のメディアではあまり報じられていない。背景を再び書いておくと、Fedは昨年短期金融市場が資金不足に陥ったことから短期国債を買い入れるプログラムを開始しており、これが実質的に量的緩和と同じ効果をもたらしている。
しかしこの債券買い入れプログラムは今年の第2四半期までという条件付きであるため、Fedがそれを延長するのか終了するのかは市場にとって重要な問題だったが、結果はタイトルの通りということである。
FOMC会合結果
さて、今回の会合を順番に見てゆこう。会合後に発表される声明文については、前回の会合で「直近12ヶ月でインフレ率とコアインフレ率は2%近辺に留まっている」としていた箇所が「直近12ヶ月でインフレ率とコアインフレ率は2%を下回って推移している」に変更されている点がハト派的であるとは言えるが、同時に「現在の金融政策のスタンスは適切であると判断する」とも書かれていることから、政策金利は当面維持の姿勢は維持されている。
市場も今回の会合よりは中国武漢発のコロナウィルスに反応しているようである。コロナウィルスの市場への影響については以下の記事に纏めている。
個人的な感想で言えば、このウィルスのリスクは世界的にかなり過小評価されていると思われる。感染者がまだ少ないアメリカやヨーロッパでは特にそう感じる。上記の記事で述べたように感染のピークは恐らく4月前後であり、タイムフレーム的にはまだまだ序盤なのである。そして中国では患者数は何百人単位で増え続けている。ウィルス感染はねずみ算式に増えるからである。これが数週間で収まると考える人々はどういう論理なのだろうか。
話を会合に戻すと、Fedのパウエル議長はこの感染拡大については会合後の記者会見で「中国で、そしてもしかすると世界中で経済活動に一定の悪影響がありそうだ」「状況を注視している」と述べたが、金融政策に影響を及ぼすかどうかについては述べなかった。とりあえずは様子見ということだろう。
そして一番重要な債券買い入れプログラムだが、これについては銀行システムへの潤沢な資金供給に成功したとした上で、第2四半期のいずれかの時期に十分な資金量が供給され終えるとして、「その時期に近づけば買い入れのペースを落とす」と表明した。つまり量的緩和は延長されず、遅くとも6月には終了するということである。
市場がここまで量的緩和で上昇してきたとすれば、その終了は株価に影響を及ぼす可能性は高い。しかし市場は目先のコロナウィルスに捕らわれているようである。3月、4月になればこれら両方のリスクが顕在化する可能性があり、なかなか面白い相場になりそうである。