米国時間9月18日、アメリカの中央銀行であるFed(連邦準備制度)は金融政策決定会合であるFOMC会合を開き、政策金利のレンジを1.75%-2.00%へ0.25%利下げすることを決定した。
利下げの決定自体は前回の記事で説明した通りメインシナリオである。
一方で、注目すべきは今後の利下げ方針に関してであるとも説明しておいた。いつも通り声明文から見てゆきたいが、今回の会合では声明文が前回分とほとんど変わっていない。
無言の声明文
変わった箇所は「家計消費の成長率は今年の前半に上昇した」が「家計消費は強いペースで伸びている」に変わったほか、「企業投資の成長率は弱々しい」が「企業投資と輸出が弱まっている」になったが、これが声明文変更のほぼすべてである。
つまり、今回パウエル議長は声明文では何も言わないことを選んだ。債券投資家ガンドラック氏は直前に「パウエル議長は極力何も語らないようにするだろう」と述べており、声明文に関しては彼の予想が当たったことになる。
ドットプロットはタカ派
一方、FOMC委員が今後の政策金利の推移の予想をプロットしたドットプロットでは、FOMC委員は平均して政策金利は2020年末まで現状のまま推移する(つまり追加利下げはない)と予想しており、今後数回の利下げを既に織り込んでいた金融市場の期待を裏切った形となる。この部分はタカ派の会合だったと言えるだろう。
因みに前回の利下げに反対していたジョージ氏とローゼングレン氏の2名が今回の利下げにも反対した一方、ブラード氏は逆に0.5%の大幅利下げを提案して却下されている。以前にも報じたが、FOMC内のタカ派とハト派が対立している様子が見受けられる。今後の運営がより難しくなっているということである。(9/19訂正)
いずれにしても、重要なのはFedの決定よりもそれに対する市場の反応である。ECBの量的緩和への反応も含めて注視してゆきたい。
ECBの量的緩和に市場は好反応を示すのか、Fedがタカ派でも株価は下落しないのか。中央銀行が市場と経済を支えてきたここ10年のトレンドが継続できるのかどうかは、ここから短中期の市場の動向が占ってくれるだろう。
パウエル議長の記者会見やその後の市場の反応についてはまた後で記事にしたい。いずれにしても重要なのは、レイ・ダリオ氏の言う金融緩和の効かない世界が近づいているのかどうかである。