アメリカの中央銀行Fed(連邦準備制度)は米国時間9月17日から18日までFOMC会合を開き、金融政策を決定する。いつも通り市場の織り込む利下げ確率やその後の展望について説明したい。
ECB量的緩和再開後のFOMC
さて、今回はECB(ヨーロッパ中央銀行)が9月12日に量的緩和の再開を決定してからすぐのFOMC会合ということになる。
ECBの緩和もあり、直近の株式市場は一応株高方向で動いている。以下は米国株のチャートである。
史上最高値に近い。元々去年末の世界同時株安が原因で利下げを始めたパウエル議長としては、利下げの理由を失ったことになる。事実、以下の記事で取り上げたようにFOMCの内部でも利下げを疑問視する声が上がっており、パウエル議長としては利下げしにくい状況であると言えるだろう。
この状況を市場はどう見ているだろうか? 金利先物市場の織り込む今回の会合での利下げの確率は以下の通りである。
- 利下げあり: 85.4%
- 利下げなし: 14.6%
利下げありがメインシナリオだが、利下げがない確率もゼロではない。
現状の相場動向とFOMC
ちなみに現状の金融市場はECBの量的緩和再開から数日経ち、株高・金利高方向に動いている。これは奇妙な動きである。量的緩和を好感して動いたとすれば、株高・金利安になるはずである。そして株高も、市場のこれまでの量的緩和への反応を考えればあまりにゆっくりとしたものである。
この動きについて結論を出すにはまだ早いのだが、市場が量的緩和の効果を信じて株高になっている訳ではないのではないかという考えに筆者は傾きつつある。市場が中央銀行の緩和効果について信じていないなら、その状況でパウエル議長はどういう手を打つだろうか。
重要なのは今回の利下げの有無よりも利下げを今後も継続するかどうかだろう。メインシナリオは、利下げを決定して今後の利下げについてはある程度消極的なメッセージを出すというものだろう。市場は今後の利下げを既に織り込んでおり、その場合その決定はタカ派に響くだろう。
緩和をしても効果が出ないと市場が信じるほど既に状態が悪いなら、緩和をしなければどういう結果になるだろうか。わたしはガントラック氏ほどには悲観的ではないが、市場は無傷では済まないだろう。
とにかくパウエル議長の決定を見守りたい。レイ・ダリオ氏の予想する緩和の効かない世界が近づいているようである。