ドイツ時間9月12日、ECB(ヨーロッパ中央銀行)は金融政策決定会合を行う。ユーロ圏経済の減速を受けて何らかの金融緩和を行うと見られており、注目が集まっている。
量的緩和再開か
本日ドラギ議長が発表する緩和には既にマイナスになっている政策金利の更なる引き下げに加えて量的緩和の再開が含まれる可能性が取り沙汰されている。量的緩和の再開は市場ではメインシナリオとして受け取られているが、完全な既定路線ではない。ドイツなど金融緩和を必要としないユーロ圏加盟国が反対する可能性が高いからである。
それでもドラギ議長自身は量的緩和再開に意欲的であるようである。この観測を受けてここ数ヶ月ユーロドルのチャートは下落基調にある。
ドイツの株価指数であるDAXも上がっているといえば上がっている。
もし量的緩和なら
ECBの量的緩和はドイツ国債の金利を引き下げ、ドイツの金利低下はアメリカの金利低下に繋がり、アメリカの金利低下はドル円に影響する。しかし個人的に一番興味があるのは、ECBが量的緩和を再開した場合、金融市場とヨーロッパ経済にどれだけの影響をもたらすことが出来るかである。
今回の会合では量的緩和がメインシナリオであるにもかかわらず、ユーロドルは数パーセントしか動いておらず、欧州株の動きも限定的である。日本の投資家ならアベノミクス開始時の市場の熱狂を思い出してほしい。あの熱狂はもう存在していない。量的緩和の効果は明らかに薄くなっている。
レイ・ダリオ氏の主張する緩和限界が確実に近づいているのだろう。もう中央銀行は経済を操作できないのかもしれない。量的緩和が効いた時代の終わりの始まりとして、ドラギ議長の判断を見守りたい。