米中会談前に中国株暴騰、世界同時株安は収まったのか?

2018年10月にアメリカの金融引き締めが原因で始まった世界同時株安は、年末年始に一旦底値を付けた後反発トレンドを続けている。その問題の一部は中国の景気減速であり、ここの読者には周知の通り、中国株は2018年の初めには既に減速トレンドに入っていたのである。

株価が反発しているのはFed(連邦準備制度)のパウエル議長が株安を受けて金融引き締めへの態度を和らげたからだが、今なおアメリカの政策金利は2.5%まで上がっており、量的引き締めも続行となっている。

一方で、世界同時株安にはもう1つの見方がある。トランプ大統領の始めた米中貿易戦争が原因であるという見方である。この相場観は大手メディアで盛んに取り上げられており、一部の金融関係者でさえその見方に囚われている。

24日にはトランプ大統領が、中国との貿易交渉が進展したとして予定されていた関税引き上げを延期したことを好感し、中国株が暴騰した。上海総合指数のチャートを見てみよう。新興国株のチャートはいつも極端である。

一方で、先進国の株式も上昇を続けている。以下はアメリカのS&P 500のチャートである。

既に史上最高値に届きそうな勢いで反発していることに驚く読者もいるかもしれない。

今後の相場見通し

さて、トランプ大統領のツイートによると、トランプ大統領と習近平国家主席はフロリダで会談を行うらしい。これまで米中貿易戦争を懸念していたことになっている金融市場の見方によれば、この会談である程度の合意が行われれば、世界同時株安の懸念が無くなったということになるかもしれない。そういう方向で進むのであれば、トランプ大統領のツイートによって合意は会談前に織り込まれるだろう。

年末の株価暴落の本当の原因が問われるのはそこからである。暴落相場では、金融市場は本当の原因を無視して表面的なシナリオにしがみつきながら、それさえ解決すれば株価は大丈夫なのだと思い込もうとするものである。

しかしはっきり言っておきたいのだが、トランプ大統領の貿易戦争はもともとショーであり、更には貿易戦争が原因で株価がこれほど暴落したことなど直近100年で一度もないのである。ブラックマンデーもリーマンショックも金融政策が原因なのである。

ということで、投資家は楽しみに待っていると良いだろう。本当にトランプ大統領が株安の原因なのであれば、貿易戦争の終結で株価は上昇トレンドを取り戻すはずである。金融政策が原因ならば、そうはならないだろう。ここの読者であれば、どちらが正しいかは既に知っている。審判の時は近いのである。

中国経済の減速については、Appleの中国売上鈍化を説明した記事を参照してほしい。

(2/27誤植を修正しました。)