さて、今は恐らく2008年の金融危機以来、もっとも面白く、もっとも重要なタイミングではないか。リーマンショック以後、量的緩和によって醸成されてきた巨大バブルが大天井を形成しようとしているからである。
新興国市場が軒並み暴落しているにもかかわらず、先進国は比較的無事である。アメリカの株価指数S&P 500は史上最高値を更新し続けている。
去年から言い続けていることだが、世界市場から資金が引き揚げられる時、すべての市場が同時に下落するわけではない。リスクの高い市場から順に下落してゆき、米国株は一番最後となる。一番最初は新興国であり、その次が日本や欧州などの先進国である。
では日経平均はどうなっているかというと、上がってはいるが2月の高値に達していない。
すべてシナリオ通りである。先進国の状況ほど中国株が回復していないことも、またシナリオ通りである。以下は上海総合指数のチャートである。
アメリカの金融引き締めは半年続く
その原因は、読者も知っての通り、アメリカの金融引き締めである。市場を暴騰させた量的緩和と同じ勢いでマネタリーベースを縮小しているのだから、株式市場にとって量的緩和と同じ規模のマイナスとならなければ理屈に合わない。これを信じていないのは、リーマンショックさえ経験したことのない、上げ相場しか知らない若い投資家だけである。
より実践的な話題に戻ろう。先ず、筆者は最初にドル円の空売りを宣言して、その後株式市場に弱気な相場観を表明した。
- 2019年へのドル円のレート推移予想と空売り開始 (2018/7/15)
- 4-6月期アメリカGDPで株式市場崩壊のシナリオが近づいた (2018/7/28)
- 日本の株式市場の崩壊はもう始まっている (2018/7/31)
これには理由がある。アメリカがこれだけ利上げをしているにもかかわらずドル円が上昇しない謎については以下の記事で表明している。
この記事の理屈によれば、リスクオフによるドル円の下方圧力は、日本市場や米国市場に限らないということになる。だから、影響が日経平均に波及する前でも、ドル円は単独で下落する可能性が高い。事実、2月の世界同時株安では、株式市場よりも先にドル円が下落している。
この予想が奏功したようであり、ドル円は空売り開始の112円台から現状で下落ということになっている。他のすべてが下がり続ける状況で米国株だけが上がる、という天井に典型的な相場では、米国株に影響される日経平均よりドル円の方が上値が重い状況が続くだろう。
一方で、個人的なポジションについて語れば、筆者は既に日経平均の空売りを始めている。ポジション開始についてここに書いていないことから分かるように、ドル円ほどの規模のポジションではないが、ここ数日の上げで空売りをやや増量した。
ここから先は、2008年以来の上げ相場の大天井をどうトレードするかという問題である。個人的な方針は、このままドル円より日経平均が堅調となる状況が続くのであれば、日経平均の空売りを更に増やすというものである。
もしかしたら23,000円が天井となるのかもしれない。そうでないかもしれない。重要なのは、どちらとなっても利益が出るように、今後のトレード方針を決めておくことである。筆者は上記のように決めている。他にも、ボラティリティ・インデックスの買いなどが有効な戦略となるかもしれない。
いずれにしても、重要なのは短期的な値動きではなく、ここが大天井であるという相場観が当たるかどうかである。少なくとも筆者はそう考えている。そして天井付近では、株価の値動きは非常に荒いものとなるだろう。それに惑わされないことである。
以下の記事を熟読の上、読者にはそれぞれの自分の判断を下してもらいたい。
何度も言うが、ここ10年でもっとも面白い状況なのである。