恒例のFOMC会合が近づいているので、2018年後半のFOMC会合について、どのタイミングで何度利上げがあるのかということを一度纏めておきたいと思う。アメリカの中央銀行が世界の市場から毎月大量の資金を引き揚げ続けている現在の状況では、その引き締めがいつまで続くのかということが世界市場の命運を左右するからである。
周知のようにアメリカは利上げと量的引き締めという2種類の金融引き締めを継続しており、今年は既に2回の利上げが行われている。Fedの自己申告では年内にあと2回、そうでなければあと1回の利上げを行うということになっており、8月、9月、11月、12月会合の内、どの会合で利上げを行うのか、あるいは行わないのかということを投資家はもう一度確認しておく必要がある。
どの会合で利上げがあるのか?
そこで、年内の4回の会合のすべてについて市場の織り込む利上げ確率を掲載し、現在の状況を再確認していきたい。
アメリカの金利先物市場を見れば、各会合の後に政策金利がどの確率でどこまで上がっているのかに関する市場の織り込みを知ることができる。
現在のアメリカの政策金利は1.75%-2.00%のレンジに収まるようにFedによって管理されている。このレンジを0.25%上げることを利上げというのだが、例えば、8月1日の会合については、会合後の金利を市場は次のように織り込んでいる。
- 1.75%-2.00%: 96.9%
- 2.00%-2.25%: 3.1%
数字は確率を表している。この会合では市場はほとんどの確率で政策金利が現在のレンジに留まることを予想しているので、つまりはこの会合で利上げがないことを織り込んでいるということである。
では、その次の9月の会合はどうだろうか?
- 1.75%-2.00%: 8.5%
- 2.00%-2.25%: 88.6%
- 2.25%-2.50%: 2.8%
一段上がって2.00%-2.25%のレンジとなっている可能性が一番高い。つまり、9月の会合では高確率で利上げが行われると市場は踏んでいることになる。
次は11月の会合である。
- 1.75%-2.00%: 8.1%
- 2.00%-2.25%: 84.5%
- 2.25%-2.50%: 7.3%
- 2.50%-2.75%: 0.1%
この会合でも2.00%-2.25%のレンジの高確率は変わっていない。つまり、9月の利上げの後、11月の会合では利上げはないことを市場は予想している。
最後に12月の会合である。
- 1.75%-2.00%: 2.0%
- 2.00%-2.25%: 26.6%
- 2.25%-2.50%: 65.8%
- 2.50%-2.75%: 5.6%
- 2.75%-3.00%: 0.1%
12月にもう一度利上げがある確率が一番高くなってはいるが、12月に利上げがない可能性も無いわけではないということになる。
結論
纏めると、市場の織り込みは、8月は利上げなし、9月は利上げあり、11月は利上げなし、12月は利上げがある可能性が一番高く、そうでなければ利上げなし、ということになる。年内更に2回の利上げがメインシナリオであり、そうでなければ1回となり、Fedの自己申告をそのまま織り込んでいる形である。
何度も言っているように、投資家にとって重要なのは、金融引き締めがいつまで続くかである。Fedは大まかに言っても2.5%から3.0%の間で利上げを止めると筆者は想定しており、アメリカの実体経済が好調であることを考えれば、遅くとも2019年前半には必要な利上げをすべて終えてしまうだろう。
因みに米国債の金利も2.5%から3.0%の間で推移しており、これは利上げに対する見方が筆者と同じであることを意味する。Fed自身は更に利上げを続けると主張しているが、いずれかのタイミングで修正されるだろう。
結論から言えば、Fedが市場が現在想定している以上にハト派になることは、2019年後半までは無いだろうということである。ここが重要な点である。
そうなればどうなるか? それは最近説明し続けている通りである。アメリカの金融引き締めが既に暴落している新興国のみならず、先進国にも及ぶには、ここから1年は十分な時間だということである。
その状況下で一番面白いのは、ドル円と日経平均である。特に、米国の利上げでドル高にならず、むしろドル円が下落するということがポイントだろう。上記の記事、未読の読者は是非読んでもらいたい。