2018年2月の初めから始まった世界同時株安だが、株式市場はその後反発し、落ち着きを取り戻したように見える。相場はこのまま何事もなかったように上昇相場に戻っていくのかということが投資家の関心事となっているが、2月の株安を事前に予想していた債券投資家ジェフリー・ガントラック氏は下落方向の予想をしているようである。
株安を言い当てたガントラック氏
ガントラック氏はこの株安を的確に予想した数少ない投資家である。彼は年始に2018年の株式市場は一度上昇してから大きく下落すると予想し、その予想は2月に入ってすぐに的中することになる。
その後、株式市場は一旦反発したが、この後どうなるだろうか? 震源地となった米国株のチャートは次のようになっている。
この下落を事前に予想していたガントラック氏はどういう相場観を持っているだろうか。彼はTwitterで次のように述べている。
相場は重要な交差点に差し掛かっている。ボラティリティ指数(訳注:株価の上下動の激しさを示す指数)は株安後初めて2017年の高値を下回って引けた。魔人は壺に戻ったのだろうか? 自分は懐疑的だ。
ボラティリティ指数は市場の値動きの激しさを数値にしたものである。2月に市場が大きく下落するとボラティリティ指数は急上昇したが、その後市場が反発するにつれてボラティリティ指数も落ち着きを取り戻している。
魔人は壺に戻ったのか?
問題はその後どうなるかである。ガントラック氏は市場の楽観的な見方に懐疑的だと言っている。理由は非常に簡潔で、株安の原因となった長期金利が高止まりしたままだからである。長期金利のチャートは次のようになっている。
2月の初めには市場は2.8%にまで上昇した長期金利が問題だと言って大騒ぎをしたが、その長期金利は当時と同じ水準で高止まりしている。
そして長期金利が低下することも考えづらいだろう。利上げによって短期金利がじりじりと上昇しており、長期金利が下から押し上げられているからである。例えば3年物国債の金利が2.43%まで上がっている状況で、10年物国債の金利である長期金利が2.87%からどこまで下がることが出来るだろうか?
だから状況は何も変わっていないのである。これは2月の始めから考えてもそうであるし、そもそも去年からアメリカの金融引き締め政策は何も変化していない。
にもかかわらず、市場は同じ状況に大騒ぎをし、同じ状況に安堵する。投資家にとって重要なのは、こうした動きに左右されないことである。状況は何も変わっていない。それをどう考えるかである。