恒例行事ではあるが、米国時間7月25-26日にアメリカの金融政策決定会合であるFOMC会合が開催される。中央銀行に相当するFed(連邦準備制度)はリーマンショック以来初めての金融引き締めのプロセスにあり、投資家は今後の動向に注目している。
利上げ予想
さて、先ずはいつもと同様、この会合で利上げがあるのかを見てゆきたい。
2015年12月にリーマンショック以来初めての利上げを開始したFedは、以来4回の利上げを行なっている。2017年には2回の利上げが行われており、Fed自身は今年中に合計3回の利上げを行うと主張しているので、自己申告によれば残り1回ということになる。
その1回がどうなるにしても、それは今回の会合で行われるのではないということはほとんど確かであるようである。金利先物市場によれば、市場の織り込む利上げ確率は2.5%であり、97.5%の確率で金利を据え置くとの予想となっている。
ちなみに年末までにあと1回の利上げを行うというFedの自己申告を市場がどう考えているのかと言えば、やや懐疑的と言ったところである。年末までの利上げ回数の織り込みは次のようになっている。
- 利上げなし: 53%
- 利上げ1回: 42.8%
- 利上げ2回: 4.0%
これに対する筆者の予想は、70%程度の確率で利上げなし、30%で利上げ1回、といったところであり、市場よりも更に懐疑的に思っている。これは利上げの代わりに量的引き締めが開始されるだろうとの予想によるものである。
量的引き締め
Fedは前回の会合で、利上げの他に新たな金融引き締めの手段を行う計画を発表した。それがバランスシート縮小プログラムである。
Fedのバランスシートとは、リーマンショック以後の量的緩和政策によってFedが市場から買い入れた米国債などの債券のことであり、Fedはこうした債券の保有量を段階的に減らしてゆくと言っている。
これは債券を買い入れた量的緩和の逆回しということになり、いわば量的引き締めと言うべき金融引き締め政策となる。量的緩和がドルや株式市場に及ぼした影響を考えれば、その逆であある量的引き締めがどのような結果を生むかは想像に難くない。事実、様々な著名投資家たちが警告を発している。
現状では、Fedがこの量的引き締め政策を今年中に開始する予定だということだけがアナウンスされているが、今回の会合で量的引き締めに関する更なる言及があるかどうかが注目されている。量的引き締め(マネタリーベース縮小)が金融市場に及ぼす影響については以下の記事を参考にしてほしい。
大幅な通貨安をもたらした量的緩和の逆である量的引き締めは、大幅な通貨高をもたらすと予想されているが、市場は今の所この量的引き締めをまともに取り合っておらず、短期的にはドルは軟調となっている。以下はドル円のチャートである。
市場が量的引き締めを真剣に考えていないために、イエレン議長は今回の会合で自分の意志の強さを示すためにタカ派的な主張をする可能性があり、その場合にはドルは再び上昇に向かうことになるだろう。