ドルが急上昇している。アメリカの長期金利の急騰が背景にあり、金利が上がったのはFed(連邦準備制度)の計画する利上げとマネタリーベース縮小が原因である。
ドルについては週末の記事で上昇を示唆したばかりであり、ドル円は週明けの112.10円から113.70円付近まで上昇している。その記事から少し引用しよう。
だから、どう転んでも長期金利はここから上昇してゆくことになる。ガントラック氏の言う通りである。
その結果は先ずドル高になるだろう。そして株式市場がどう反応するかは、長期金利が2.8%-3.0%のレンジに到達するかどうかによる。
しかしながら、引用文にもある通り、ドル高の原動力となっているアメリカの金利高は2.8%-3.0%前後が天井だろう。現状のチャートは以下である。
長期金利がそれ以上に上昇すれば、リーマンショック以後の低金利で債券市場から株式市場に流入した大量の資金が、高金利を求めて債券市場に帰ってゆくことになり、今度は株式市場が崩壊してしまう。以前より指摘しているポートフォリオ・リバランスの逆流である。
だから、ドルを買っている投資家はその水準を意識して利益確定してゆく必要がある。ドル円でその水準と言えば、118円から120円程度だろう。チャートを見れば分かるが、天井はそれほど遠くはなく、取ることの出来る値幅は限られている。
更に、時間が経てば経つほどアメリカのGDP統計が悪化し金融引き締めに冷水がかかる可能性がある。だから短期的にこれらの水準に近付くようであれば、積極的に利益確定してゆくのが良いだろう。
下がらなかった米国株
さて、ここまでの動きは週末の記事での予想通りだが、一つ驚いたことがある。米国株が下がらなかったことである。以下はS&P 500のチャートである。
そもそも、株式市場は本来Fedがマネタリーベース縮小計画を発表した時点で反応すべきだったのだが、長期金利が上昇したここに及んでまだほとんど無反応と言っていい。
これを米国株は強いと表現するべきか? 少なくともわたしはその側には与しない。ジム・ロジャーズ氏が、強気派など誰もいないほどに一面弱気で暴落している市場を買いたいと言ったのを思い出そう。
わたしが米国株に見るのはその逆である。逆量的緩和(つまり量的引き締め)と言うべき金融引き締めを前に正常な反応を示さないというのは、金融政策の影響を警戒する頭さえ無い強気一色の投資家しか残っていないということである。それは通常、天井を意味する。
長期金利の上昇が続く前提ならば、今後数日でまともな下げがあると良いが、そうでなければ米国株空売りを考えても良いかもしれない。つまり、短期では、長期金利の上げが続く前提で、どちらに転んでも米国株売りである。
ドル買いよりも
さて、米国の金融引き締めに関して言えば、ドル円の買いや長期金利と米国株の鞘取りなどは所詮は短中期的なトレードであり、本命はやはり金価格の暴落を待って大量に買うことである。
金価格はここ数日でかなり下がっている。
また、ロシア株やルーブルなども、アメリカの金利高騰で下落する銘柄である。以下はドルルーブルのチャートだが、短期的にドル高のトレンドとなっている。
こちらも買い場となるだろう。以下の記事の通りである。