引き続き、DoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏のThe Insightful Investorによるインタビューである。
今回はアメリカの政府債務と年金などの問題について語っている部分を紹介したい。
アメリカの政府債務
今年に入って著名ファンドマネージャーらはこぞって政府債務と財政赤字の話をしている。コロナ後の金利上昇で、ついに莫大な政府債務に多額の利払いがついてしまったからである。
利払いがついていない時には、債務がどれだけ積み上がっても問題がないように見えた。だがついに金利が上がってしまった。ここからが地獄である。
アメリカの公式の政府債務はGDPの100%を超える。だがこの数字には、年金など政府が実際に支払わなければならない金額の多くが抜け落ちている。
だからガンドラック氏は次のように述べている。
アメリカには年金などを含む借金が220兆ドル積み上がっている。GDPの7倍だ。ドル紙幣の購買力を保ったままではこの金額は返済不能だ。
インフレで無価値にするか、債務再編するしかない。
支出が削減されてゆく
インフレになっていない間は借金が問題ないものに見えた。中央銀行が紙幣を印刷してすべてを解決してくれるように見えた。
だがひとたびインフレが起こってしまえば、借金を本当にインフレで返すのか、あるいは人々はお金がない現実を受け入れ、支出を減らしてゆくのかを選択せざるを得なくなる。
実際にはその両方が起きるのだろう。そして支出の削減の方で言えば、アメリカではそれが既に起きている。以下の記事でベッセント財務長官が語っている通り、イーロン・マスク氏率いるDOGE(政府効率化省)が政府の無駄を削減している。
政府にはお金がないという現実に人々が気づき始めていることについて、ガンドラック氏は次のように言っている。
問題の解決は簡単だ。削減は削減以外の何ものでもない。
興味深いのは、人々は削減とは削減することだということに今更気づき始めていることだ。解雇されている政府職員は木の陰にでも隠れている名無しではない。実在する人間だ。
その現実がいまニュースになっている。人々は「ちょっと待ってくれ、自分の仕事が削減されるとは思っていなかった」と言っているわけだ。
国家に余裕がなくなって初めて、人々は争い始める。日本で言えば国民民主党の登場により、減税を支持する若者と既得権益を守ろうとする老人の争いが始まったように見える。
財務省へのデモなどの動きは、人々と政府が争い始めた始まりではないか。
人々は同意する
この国民同士の争いは最終的にどうなるのか。ガンドラック氏は次のように興味深い予想をしている。
面白いのは、最終的に人々は合意に至るということだ。
ベビーブーム世代は年金のいくらかを諦めなければならなくなる。そして彼らは実際に諦めるだろう。彼らはかなり大人しくコントロールしやすい世代だ。
人々は現実を受け入れ、合意に達するだろう。現実を受け入れて合意に達したいからではない。そうせざるを得ないからである。
年金を諦めなければならないのは、ベビーブーム世代だけではない。それより若い世代はすべてそうなるだろう。
「大人しくコントロールしやすい世代」というコメントは非常に面白い。日本でその世代は誰だろうか。老人はもう何十年も自民党と結託して若者から資金を吸い上げてきた。若者は国民民主党とともに減税を勝ち取ろうとしている。貯金がまだない彼らにはインフレは怖くない。
そしてその間には、これまで自民党から何も貰っていないにもかかわらず、その大半が自民党を支持し続けた世代が広がっている。
彼らが一番割りを食うだろうが、若者も老人も取り分を大きく奪われることを避けられないだろう。レイ・ダリオ氏が『世界秩序の変化に対処するための原則』で予想している債務の長期サイクルの終わりが近づいている。経済の全やり直しである。

世界秩序の変化に対処するための原則