引き続き、アメリカの財務長官で、Soros Fund Managementの運用をしたこともある世界的なヘッジファンドマネージャーでもあるスコット・ベッセント氏の、All-In Podcastによるインタビューである。
今回はベッセント氏がイーロン・マスク氏のDOGE(政府効率化省)による政府支出削減について語っている部分を紹介したい。
DOGEによる政府支出削減
前回の記事でベッセント氏は、DOGEによる政府の無駄削減を支持し、ワシントンのお金の流れについて次のように述べていた。
ここから10マイル以内のエリアからアメリカのGDPの25%が毎日支出される。ワシントンでは誰もがその一部をかすめ取ろうとしている。
政府支出とはそういうものだ。人々のためという名目で、別の誰かから許可なく取り上げられたお金がばら撒かれる。そしてそのお金が受益者に届くまでの間に、おこぼれにあずかろうとする多くの業者の間をすり抜けてゆく。
税金に群がる企業たち
さて、マスク氏率いるDOGEがそういう無駄を削減しようとしているということは、そういう業者がなぎ倒されるということである。
ここで投資に興味のある読者が興味を持つかもしれないことは、その業者がもし上場していれば、その業者の株価はトランプ政権以来どうなっているのかということである。
アメリカの場合、そういう企業は例えばどの企業だろうか。日本で言えば某広告代理店だろうか。同じような企業がどの世界にもあり、消費者が求めるようなサービスを提供せずとも税金の一部を吸い取ることで生きているのである。
インタビューの司会者がまず次のようにその企業の話をしている。その企業はDOGEによって政府からの受注をキャンセルされ、財政の危機にあるそうである。
さっきまでイーロンと話していたのですが、ある企業は、名前はここでは出さないでおこうと思いますが、売上の98%が政府からの受注だったそうです。
司会者がこう言うとベッセント氏が間髪入れず次のように言う。
ニュースに出ていたので名前を出してもいい。Booz Allenだ。
死にゆくコンサル企業
Booz Allen HamiltonはIT系のコンサル企業である。政府が支出をすると決めた時、実際にそれを実現するのは民間の企業であることが多い。例えば日本の現金給付でも、何故か現金給付を行うだけで多額の経費がかかっており、その分の税金は何処かの企業に消えているのである。
ベッセント氏が言うように、ワシントンには政府支出に群がる多くのそういう企業があった。その筆頭が、例えば上に名前の出ているBooz Allen Hamiltonなのである。
そうした企業の株価は、トランプ大統領が就任して以来どうなっているか? 株価チャートは次のように推移している。

ほぼ半値である。
ちなみに下がっているのはBooz Allen Hamiltonだけではない。GartnerやAccentureなどの有名コンサル企業もマスク氏のDOGEによって株価が急落している。
Accentureの株価を挙げると次のようになっている。Gartnerも同様の動きである。

結論
これこそが今回のトランプ相場である。なかなかの景色ではないか。アメリカ国民を喜ばせるために必ずしも株価を上げる必要はない。むしろ株価が下がった方が喜ばしいこともあるだろう。
しかしBooz Allenは、売上の98%が政府案件ならば、政府から切られると終わりではないか。ベッセント氏は次のように言っている。
どんなリスク管理のやり方をすればそうなるんだ?