ガンドラック氏: 米国の年内利下げ3回はありそうにない

引き続き、DoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏の自社配信動画である。

今回はFed(連邦準備制度)の金融政策について語っている部分を紹介したい。

アメリカの利下げ

アメリカはコロナ後の物価高騰で5%台まで利上げした後、去年の9月から利下げを行なっているが、金融市場の利下げ予想は最近ずっとFedの実際の利下げよりも大きな利下げ幅を織り込んできた。

ガンドラック氏は次のように説明している。

2025年の市場の利下げ予想はころころ変わっている。2024年の9月までは多くの利下げが織り込まれていたが、そこから利下げ織り込みは大きく後退した。

そして過去1ヶ月でまた利下げが織り込まれ始めている。

Fedが利下げを始めた去年9月には、大幅な利下げができるという楽観が支配していた。だが実際にはインフレ率はそれほど急に下がったわけではなかった。

だから一旦利下げ期待は後退したのだが、最近の株安でまた復活している。

その様子は、Fedの今後の利下げ見込みを織り込んで推移する2年物国債の金利に表れている。9月を境に金利低下が逆戻りしているが、最近また下落している。

政策金利は今4.25%であり、それに対して2年物国債の金利が3.9%台である。だからガンドラック氏は次のように言っている。

2年物国債の金利は今3.9%だから、今年Fedは恐らくもう1回か1.5回ほど利下げするだろう。

ただ、2年物国債の金利は今後2年の金利の平均を表しているのに対し、具体的な利下げ回数の予想は金利先物市場に表れる。

そして金利先物市場は年末までに3回の利下げを織り込んでいる。

ガンドラック氏は次のように述べている。

金融市場は最近3回以上利下げすると織り込んでいるが、わたしは疑問視している。

これは、Soros Fund Managementのドーン・フィッツパトリック氏の予想と同じである。彼女も3回の利下げ予想に対して次のように言っていた。

わたしなら市場の逆に賭けたい。最終的にはトランプ政権は市場が想像するよりも多くの痛みを受け入れるだろう。その量には限界があるが。

フィッツパトリック氏の予想は、Fedというよりはトランプ政権が高金利を許容するかどうかに基づいたものである。

2人の予想が正しければ、2年物国債の金利上昇に賭けることが正しいということになるが、果たしてどうだろうか。