引き続き、DoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏の自社配信動画である。
今回はゴールドや銅などについて語っている部分を紹介したい。
ドルからの資金流出
最近米国株が下落しているが、前回の記事でガンドラック氏はその動きを、ドル建て資産からの資金流出の一部であると位置付けていた。
ガンドラック氏は同時に、ドル自体が円やユーロに対して下落していることを指摘していた。
だが円やユーロも強いとは言えない。円の価値も酷く下がっているのに、ドルから逃避して円を買うという考えは、日本人にはピンと来ないだろう。
だから実際には通貨から通貨への逃避よりも、通貨から現物資産への逃避の方が力強いのである。そしてその逃避先になっているものが何かについて、ガンドラック氏は次のように語っている。
一番の勝者は金属だ。ゴールドや銅、産業金属もすべて上がっている。だが銅がその中でも特に強く、ゴールドも上昇相場を継続している。
銅相場に注目している人がどれだけいるか分からないが、今年に入って銅相場は持ち直している。

銅はゴールドとは違って産業用途に強く結びついている金属で、実体経済における需要に左右されやすいが、景気後退懸念で株価が下落している中で銅価格が上昇していることはスタグフレーションを思い起こさせる。
ガンドラック氏の金価格予想
さて、では銅以上に上がり続けているゴールドはどうだろうか。ガンドラック氏は金相場について次のように述べている。
ゴールドの上げ相場は一時期1,800ドルに下がった時からもう数年続いているが、今や3,000ドルに近づいている。
最近、金価格が3,000ドルに届くという面白い予想が増えているが、2,900ドルからの変化を予想する時にその数字はほとんど予想ではない。
それは現在価格が1,800ドルの時に予想すべき数字だろう。2,900ドルから始めることではない。
実際、ここ数日で金価格は3,000ドルを超えてしまった。株式市場が下落を続ける中、何という強さだろうか。

ガンドラック氏はこれまで、ゴールドを強く推奨し続けてきた。
そしてその予想は見事に当たっている。また、金利上昇による利払い増加で財政がかなり怪しくなっている米国債からゴールドへの資金流出を予想している著名投資家は、ガンドラック氏だけではない。
この流れは、レイ・ダリオ氏がコロナ後すぐに書き始めた『世界秩序の変化に対処するための原則』で予想されていたシナリオだが、ダリオ氏の予想もガンドラック氏の予想もまだ終わっていない。
ガンドラック氏は次のように述べている。
わたしはもっと踏み込んでゴールドが4,000ドルになると予想する。

世界秩序の変化に対処するための原則