引き続き、Soros Fund Managementのドーン・フィッツパトリック氏のBloombergによるインタビューである。
今回はアメリカの7つのハイテク株を総称したマグニフィセント・セブンについて語っている部分を紹介したい。
米国株の下落
先月から米国株が下落している。S&P 500のチャートは次のようになっている。

S&P 500の下げ幅は高値から6%程度であり、フィッツパトリック氏は前回の記事で、もっと株価が下落してもトランプ政権はそれを許容するかもしれないと予想していた。
だが、これまでの上昇幅が大きかったハイテク株、特にマグニフィセント・セブンと呼ばれる7つの銘柄はそれよりも大きな下落幅になっている。マグニフィセント・セブンについてはフィッツパトリック氏はどう考えているのだろうか。
マグニフィセント・セブン
マグニフィセント・セブンとは、Alphabet(Googleの親会社)、Amazon.com、Apple、Meta(Facebookの親会社)、Microsoft、Nvidia、Teslaの2つのハイテク銘柄の総称であり、コロナ以降の米国株の上げ相場を牽引してきた銘柄である。
これらの銘柄はどれも下落しているが、特に言及に値するのは、やはりAI銘柄のNVIDIAだろうか。
AIの情報処理に使われるGPUを製造するNVIDIAの株価は次のように推移している。

2月の高値から20%以上の下落となっている。
マグニフィセント・セブンは買い
結論から言えば、フィッツパトリック氏はマグニフィセント・セブンに関しては強気である。彼女は次のように述べている。
マグニフィセント・セブンは素晴らしい会社で、実際に利益も出ているのに、最近の調整はかなり激しいものだ。だからわたしなら市場の逆を行くだろう。
実際、マグニフィセント・セブンのバリュエーションはどうなっているのか。
筆者が買いを検討するとすればやはりNVIDIAだから、NVIDIAのバリュエーションを見てみると、まず株価は112.69ドルであり、アナリストの予想平均によると2026年の1株当たり純利益は4.5ドル、2027年の1株当たり純利益は5.72ドルになると予想されている。
利益の成長率は27%であり、2027年の予想値に基づく株価収益率は19倍ということになる。
NVIDIAよりももっと利益成長の低い銘柄でも同じような株価収益率になっていることを考えれば、例えばS&P 500そのものよりもやはりNVIDIAの方が割安だということになるだろう。
結論
ということで、筆者もフィッツパトリック氏の結論が正しいのではないかと考えている。
一方で、米国株そのものが歴史的な割高水準であることは筆者は去年から警告してきた。これについてはデイヴィット・ローゼンバーグ氏の記事を参考にしてもらいたい。
世間ではハイテク株が割高だとの声が聞かれるが、むしろそれ以外の米国株の方がむしろ買う気にならない。高成長でなければ何故こんな割高水準の株をわざわざ買うだろうか。
筆者の保有するAI銘柄のLumentumも下落しているが、筆者は米国株全体は極めて割高、AI関連銘柄は比較的割安との従来の見方を継続している。こういう時にこそ銘柄をきちんと選別してポートフォリオを調整すべきである。