サマーズ氏: 株価急落で慌てて売るのは大きな間違い

アメリカの元財務長官で経済学者のラリー・サマーズ氏がBloombergのインタビューで最近の株価下落についてコメントしている。

最近の株価下落

株式市場がやや荒れている。中国のAIであるDeepSeekの台頭によって先月末に米国株はAI銘柄を中心に急落したが、その後回復したものの今度はトランプ政権の関税(最初から分かりきっていたではないか)のニュースでまた下方向に動いた。

最近の株価急落をサマーズ氏はどう捉えているだろうか。サマーズ氏はサマーズ氏らしい落ち着いたものの見方で次のように述べている。

金融市場で投資家が犯す大きな間違いのほとんどは、昨日やっておくべきことを今日やることによって起きる。

だから人々は大きな下落があった今、怖くなって売り時だと考えたり、逆に大きな上昇があった後に波に乗るべきだと考えたりする。

だがそれは損失を重ねる近道である。何故ならば、株価が上がったから買い、下がったから売る人は、自分から高値で買って安値で売りに行っているようなものである。

筆者の見る限り、投資初心者が投資で大敗する原因の多くはここにある。多くの人が売るタイミングは、投資で損を出した時である。だから彼らの投資は必ず損を出して終わる。自分でそう決めているからそうなるのだが、それに気付くまでにほとんどの人は長い時間がかかる。

サマーズ氏は次のように言っている。

大きな上昇相場の途中では、調整や一時的な下落があるのは当たり前のことだ。だから株価が大きく上がった後で下落したからといって、それでその次の動きがどちらに保証されることもない。

株価下落の時にすべきこと

株価が下落した時にすべきことははっきりしている。サマーズ氏は次のように述べている。

一番成功する投資家は、こうした状況で大局に立って判断し、ポジションを多少調整するが、1日1日の市場の動きには過剰反応しない人だ。

場合分けして考えよう。もしあなたが株価下落を予想していたなら。それは単に予想通りに行ったということである。逆にあなたが長期的に株価は上がると考えていたならば、下落は将来上がる株を安く買える良い機会ということになる。

株価が下落する時には様々な銘柄が下落する。DeepSeekショックの後に、筆者はいくつかの銘柄に言及してコメントしておいた。

この記事で、DeepSeekの登場によってAI銘柄のNVIDIAが終わったかのように言うのは完全な間違いだが、筆者が買っている別のAI銘柄であるLumentumの株価下落はそれ以上に完全なとばっちりだと書いておいた。

NVIDIAとLumentumに対する筆者の見方が正しかったことは、その後の株価の動きが証明している。NVIDIAの株価チャートは次のようになっている。

一方で、Lumentumの株価チャートは次のようになっており、DeepSeekショックの安値から反発している。

結論

こうした下落後の株価推移は、話題となっているニュースと両銘柄の事業内容を冷静に考えれば事前に予想できる。

筆者がこうした下落相場でやったことは、下落している優良銘柄の中でも特に意味をなさない理由で下落している一番良い銘柄のポジションを増やしたことである。

その判断は今のところ正しかったと言える。NVIDIAは、もう少し下がれば買っても良いのだが、Lumentumが十分魅力的なのでそちらだけで良いかという気もする。

今回は下落した個別銘柄を拾う話をしたが、ここの読者はご存知の通り筆者は米国株全体は極めて割高だと考えており、そのリスクはヘッジされている。米国株全体については以下の記事を参考にしてもらいたい。