年明けから不安定な相場が続いており、S&P 500は節目の2,000を割れ、ドル円は116円台で推移している。原油は一時45ドルを下回った。何よりも注目すべきは、ボラティリティがあらゆる市場で上昇していることである。
上記の記事で述べた通り、とりわけ株式市場はFRB(連邦準備制度)の量的緩和の終了と利上げという未曾有の金融引き締めをほとんど織り込まずにここまで来ている。織り込みが遅れている要因には日欧の金融緩和があるが、今年中に実際に利上げが始まる可能性が高いことを考慮すると、低金利により債券から株式へと移っていた資金の株式市場からの逆流は、今年か来年には起こる可能性が高い。
こういう金融引き締めの局面ではどのようなことも起こりうる。大半のアナリストは米国の景気回復をファンダメンタルズで分析し、現在の水準はバブルではないとしているが、バブルであろうがなかろうが、資金が急速に引き揚げられるならば相場は無条件に下がるのである。年始からの相場の下げがまさにその急落かどうかは分からないが、もしそういう下げ相場が来たときには、その底値を言い当てることは難しいものである。
しかしながら、世界の金融市場を見渡せば、株式市場のインデックスよりも底値が分かりやすく、単純な買い下がりが可能な銘柄も存在する。先ずはドル円である。
ドル円は現在116円台で取引されており、これは上記記事で指摘した、マネタリーベースのみを考えた場合の適正レート115円に近づいてきている。本来はこれに日米の経済成長の差などを考慮すべきであるから、120-125が適正値であるはずである。
こういう何でも起こりうる相場においては、110-115のレンジで買い玉を仕込み、相場の荒れが収まるのを待つのが良い。株式市場がどれだけ荒れようと、低金利が円だけのものではなくなり、金融緩和による経済成長は増税で帳消しになることがほぼ確定している状況下では、為替が円高に戻ることは考えづらいのである。リスクオフによっていまだ円高に振れることは日本経済にとって幸いである。リスクオフが円安となったとき、日銀は金融市場のコントロールを完全に失うのである。
もう1つの「下げたら買い」の銘柄は、何度も言うように欧州の不動産株であるが、量的緩和が期待されるECB(欧州中央銀行)の決定会合を22日に控え、なかなか下がってはくれないだろう。パリのGecina (Euronext:GFC)は下記の記事で買い場と書いた€100から8%ほど上昇した。しかし、万一下がれば買いであることに変わりはない。
いずれにせよ、2015年の相場はロングとショートを混ぜるか、ロングしかできない場合はポジションを取り過ぎないことが重要である。金融緩和によって無条件に上がる相場は2014年で終了し、しかもその反動をいまだ織り込んでいないからである。