フィリピンのドゥテルテ大統領が吠えている。フィリピンが現在行なっている麻薬撲滅政策のもとで超法規的な殺人が行われているとしてEU議会の政治家たちがフィリピンを非難しているが、これに対してドゥテルテ大統領が答えている。Guardian(原文英語)など各紙が報じている。
西洋の介入主義
一般的に言って、日本では有り得ないことが海外では行われる。だからフィリピンで現在行われている超法規的な麻薬撲滅について、その是非を議論をするのはこの記事の目的ではない。
ここで取り上げたいのは、西洋諸国が当たり前のように行う内政干渉全般に対するドゥテルテ大統領の主張である。彼がオバマ元大統領を含む西洋の政治家を嫌っている理由はこの一点に尽きる。彼は彼の麻薬撲滅政策を批判するEU議会の政治家に対して、はっきりと次のように言った。
この地球上で各国政府がどうあるべきかということについて、自分の文化や信仰を他国に、とりわけフィリピンに押し付けるな。
何故自分のことだけ考えないのか? 何故われわれとまぐわる(原文:fuck with us)必要がある? 忌々しい。
歴史的に、西洋諸国は自分を正義と信じて他国への政治的、軍事的介入を行なってきた。その最たる例が、存在しない大量破壊兵器を理由に行われたアメリカのイラク侵略であり、しかし大抵の西洋人は一国を侵略したことさえ多少の失敗としか思っていないだろう。
反グローバリズムと介入主義
そうした介入は軍事介入の形で行われることもあれば、国連などの国際機関が平和や人権の名のもとに政治的圧力として行われることもある。介入主義はグローバリズムの本質だからである。日本人は国際機関がどういうものかをもっと知るべきである。
しかし、そうした傾向も変わりつつある。アメリカのトランプ大統領が、アメリカは他国の政権転覆をやめると語っているからである。
こうした新たな潮流に対する日本の動きとして、自衛隊の南スーダン撤退に言及しておきたい。この撤退は突然何の脈絡もなく行われたかのように見えるが、実際にはそうではない。
自衛隊は国連のいわゆる平和維持活動を援助するために南スーダンに行っていたのであり、安倍首相が安保法案を通したのはこうした西洋の介入主義に歩調を合わせるためである。
しかし彼はこれを突然中止した。これは明らかに、アメリカでトランプ大統領が勝利したから介入主義から手を引いたのであり、何の脈絡もない決定ではない。これは日本がどちら側に付くのかという問題に対する安倍首相の明確な意思表示である。
彼はヒラリー・クリントン氏の勝利を確信して大統領選挙前に彼女にわざわざ会いに行く失態を演じたが、その後彼はその失敗を挽回しようとしている。彼の移民政策は許されるべきものではないが、その点については評価をしたい。