Rosenberg Researchのデイヴィッド・ローゼンバーグ氏がデイヴィッド・リン氏によるインタビューで、2025年のアメリカの金融政策について話している。
FOMC会合と株価下落
12月のFOMC会合は株式市場を大きく下落させた。S&P 500のチャートは次のように推移している。
下落から数日経ち、株価はある程度戻しているがそれをどう考えるかである。
Fed(連邦準備制度)は0.25%の利下げを行なったが、それでも株価はその日大きく下落した。
その理由についてローゼンバーグ氏は次のように述べている。
パウエル議長の発言で重要だったのは、金融政策はもはや大きく引き締め的ではなく、政策金利は中立金利からそれほど遠くないといきなり主張したことだ。
その発言が人々の不意をついた。
株式市場を驚かせたのは、2025年の利下げに関するパウエル氏の見方である。ローゼンバーグ氏は次のように続けている。
金融市場は元々2回の利下げしか想定していなかったし、Fedが公式に表明したのも2回の利下げだが、金融市場はそれで1回の利下げしか織り込まなくなった。
パウエル議長の隠されたメッセージはこうだ。2025年にはもしかしたら1度も利下げしない可能性すらある。
金利と株価
何故それが重要なのか。米国債の金利を期限の順に並べると次のようになっている。
- 1年物国債: 4.26%
- 2年物国債: 4.30%
- 3年物国債: 4.36%
- 5年物国債: 4.44%
- 10年物国債: 4.59%
- 30年物国債: 4.78%
これは要するに、今後30年間金利はほとんど変わらない、利下げもほとんどないということを意味している。
それは株価に何を意味するか。株価は金融政策と実体経済の2つに支えられているので、金融政策の支えが今後望めないのであれば、現在の株価上昇は実体経済の強さに依存するほかないということになる。
特に、9月以降金利が上がっているにもかかわらず株価が上がっているのだから、それを正当化するようなかなり強い経済を株式市場はトランプ政権に求めていることになる。アメリカの長期金利は次のように推移している。
何度も繰り返すが、金利上昇にもかかわらず株価が上がって良いのは経済が強い時だけである。来年からトランプ政権の経済政策が具体的に出てくるだろうが、トランプ政権が市場の高い期待に応えられない場合、株式市場には金利上昇分の下落があるかもしれないということは警告しておかなければならないだろう。