サマーズ氏がAIの進歩を絶賛、関連銘柄はどうなるか?

アメリカの元財務長官で経済学者であり、ChatGPTを開発しているOpenAIの取締役でもあるラリー・サマーズ氏がハーバード大学での講演でAIについて語っている。

AIはどれだけ重要か

AIについて期待を持っている人は多い。サマーズ氏もその1人で、OpenAIの取締役までやっているのだからむしろAIの当事者である。

だからサマーズ氏のAI推しは前からだが、今回の講演ではかなり強い言葉でAIへの期待を寄せている。サマーズ氏は次のように述べている。

もし未来の歴史家が21世紀のこの時期を振り返ったら、もっとも重要な出来事はアメリカでポピュリストが大統領になったことでも、ロシアとウクライナの戦争でもない。現在AIに起こっている急激な進歩だ。

AIは歴史的な転換点だとサマーズ氏は主張しているのである。もしそうなら、NVIDIAなどの株価が10倍になったこともむしろ控えめと言えるのではないか? インターネットの発展によって起こった2000年のドットコムバブルでは、ネット関連銘柄はもっと法外なバリュエーションとなっていたのだから。

だがインターネット銘柄も紆余曲折を経て大きく上昇したのである。一本調子で上がり続けるわけではない。

どのような道筋を辿りながら上がってゆくのかは、技術の進歩のスピードによるだろう。だがその推測は難しい。サマーズ氏は次のように述べている。

これからの進化がどれだけのスピードになるかは分からない。

技術の進歩についての一般論で言えば、進化は人々の予想よりもゆっくりと起きるが、同時にそれほど早くは進化しないだろうという人々の想定を超えた速度で進化してゆく。

例えばAIというのは実は何十年も前から使われている言葉である。そしてAIが人間に取って代わるのかという議論は数十年前にもあった。だが結局、AIはこれまで人間に取って代わるところまでは進化してこなかったのである。

だからその意味では進化は人々が思っているよりもゆっくりである。 だがここ数年の進化は、人々の想像を超えていたのではないか。

技術の進歩とはそういうものである。サマーズ氏は次のように述べている。

だがAIは科学の進歩の大加速だと感じている。インターネットからAIへの進化は、計算機からコンピュータへの変化のようなものだと言っても誇張かどうかは分からない。

AI銘柄はどうなるか

サマーズ氏のAIへの入れ込みようは相当である。その予想が正しければ、投資家にとっては大きな利益の源泉になるはずだ。

AI関連の銘柄といえばまず何よりもNVIDIAである。AIの演算処理を行うGPUを作る会社であり、AIの頭脳を作っているに等しい。

だからNVIDIAの株価は大きく上がってきた。筆者も今年まで投資していたので大きく儲けさせてもらった。

だが流石に去年のようなあり得ないほどの割安とは言えなくなってきたので、利益確定して光トランシーバー製造のCoherentとLumentumに乗り換えた。

ここの読者にはお馴染みの銘柄だが、光ファイバーの信号をデータに変換する光トランシーバーがなぜAI銘柄かと言えば、AIに対応したデータセンターではGPUを並列処理させるために高性能の光トランシーバーを爆買いしているからである。

以下の記事で説明したが、AI需要のおかげでLumentumの利益成長率はいまやNVIDIAよりも高い。

Coherentも十分上がってくれたのだが、その後業績が良さそうなLumentumに一本化した。Lumentumは夏から買っているので、そろそろ株価2倍に届きそうである。

AI銘柄の長期見通し

AI銘柄は長期的にどうなるか? Lumentumは来年のどこかで利益確定することになるだろう。いまはAI需要をNVIDIAより強く受けているとはいえ、光トランシーバーはAIの中核にあるとは言い難く、参入障壁も大きくないため長期的にAIに賭けるには不適切である。

だがAIがサマーズ氏の言うような長期のトレンドなら、もっと長く賭けられる銘柄が必要である。NVIDIAを同じく利益確定したスタンレー・ドラッケンミラー氏も、AIそのものには長期で強気だと表明している。

AIの長期的進化に賭けるならば、やはりどこかのタイミングでNVIDIAに戻らなければならない。需要なのは、NVIDIAが半導体銘柄だということである。経験ある投資家なら知っていることだが、半導体は需給サイクルに極めて影響されやすい業界である。

つまり、供給が需要に追いついていない間は製造者は好景気となるが、供給体制が整い需要が落ち着くと業績が悪化し始め、生産力を減らして供給が減ってくるとまた好景気への準備が整う。

NVIDIAといえども半導体の経済のサイクルからは逃れられないはずで、AI需要に一通り応えたあたりでGPUは一度供給過多に陥るはずである。筆者の予想では恐らく5年以内ではないか。

それで株価が下がったタイミングでNVIDIAに再度参入したいと考えている。それまではLumentumなどのNVIDIAより短期だがパフォーマンスの良い銘柄で繋いでいきたい。