ガンドラック氏: 米国のインフレ率は2%以下まで下がるが、景気後退は遠のいた

DoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏がCNBCのインタビューでアメリカ経済に対して微妙な見方を示している。

ガンドラック氏の経済減速予想

ガンドラック氏はここ数年一貫してアメリカ経済の減速を予想してきた機関投資家である。

ガンドラック氏がその予想を始めたとき、インフレ率はまだ9%前後を推移していた。だがアメリカのインフレ率はそこから2%半ばまで下がり、Fed(連邦準備制度)は遂に利下げを開始した。

だが一部の機関投資家からはその利下げ判断が早すぎ、インフレが再加速するのではないかという予想が出ている。

ガンドラック氏のインフレ予想

だがガンドラック氏はインフレ率下落予想を変えていない。ガンドラック氏は次のように言っている。

労働市場が弱まっていることを人々が無視しようとしているのには少々驚きだ。

ハリケーンやストライキなどのせいにしたがっているのは知っているが、わたしの注目している家計調査では、過去11ヶ月雇用は減っている。

また、他にガンドラック氏が低インフレの根拠にしているのが原油価格である。原油相場は次のように推移している。

ガンドラック氏は次のように述べている。

原油価格は70ドルを底に推移しているが、原油価格が70ドル台前半のまま推移するなら、今後4ヶ月か5ヶ月ほどでCPI(消費者物価指数)のインフレ率は2%を下回るだろう。

そうなればパウエル議長は十分にインフレに対する勝利を宣言できる。

インフレ率が2%を下回ればアメリカ経済にとって大きな節目となる。利下げも当然正当化されるだろう。

パウエル議長が2021年にインフレを無視していた時は痛烈に批判していたガンドラック氏だが、今ではパウエル氏の利下げを正しいと考えているらしい。

ガンドラック氏が他に根拠として挙げているのは家賃である。ガンドラック氏は次のように説明している。

インフレの中で今でも高止まりしているのは家賃だが、新規契約の家賃はインフレになっていない。過去の契約に基づく家賃はそれに遅れて下がってくるので、2025年のインフレ動向の頭を抑える要因になるだろう。

アメリカ経済見通し

ガンドラック氏はアメリカのインフレについて次のように纏めている。

わたしの考えるメインシナリオでは、今後12ヶ月でインフレ率が3%台まで上がることはない。

ではガンドラック氏はアメリカ経済に対して全面的に弱気なのか。最近のアメリカでの大きな変化は大統領選挙でトランプ氏が勝利したことである。

他の機関投資家はトランプ新大統領による景気刺激がアメリカ経済をむしろインフレ再加速の方向へ持ってゆくと予想している。

ガンドラック氏はこれまで、インフレ減速と同時に景気後退も近いと予想していたが、トランプ氏の勝利によって景気後退は遠のいたかと聞かれ、次のように答えている。

それは正しいと思う。株式市場の反応を見れば明らかだ。

トランプ氏の勝利が目先の景気後退の可能性を減らしていると見るのは正しいだろう。

結論

ということで、ガンドラック氏はインフレの減速と景気の改善を予想しているようだ。だがそれはちょっと虫が良すぎないだろうか。

トランプ氏は景気を回復させながら、インフレを再燃させないという綱渡りのような神業を求められている。

ガンドラック氏の予想ではそれが実現することになる。他の投資家はそうは思っていない。

どちらの予想が正しいだろうか。今後もアメリカ経済の動向を伝えてゆく。