ジョージ・ソロス氏のクォンタムファンドを長年運用していたことで有名なスタンレー・ドラッケンミラー氏がノルウェー銀行のインタビューで、米国債の空売りについて語っている。
米国債の空売り
ドラッケンミラー氏は次のように語っている。
わたしは国債を空売りしている。ポジションはそれほど大きいわけではないが、タイミングは良かった。Fed(連邦準備制度)が利下げを始めた日に空売りした。それからは坦々と下落している。
ドラッケンミラー氏はアメリカの金利上昇(債券価格の下落)を予想している。新大統領の景気対策やFedの利下げでインフレが再発すると予想しているのである。
だからドラッケンミラー氏はパウエル議長が通常の倍である0.5%の利下げをした日に米国債を空売りした。
普通なら大幅な利下げをすれば金利は下がると思うかもしれないが、ドラッケンミラー氏の予想通り、9月18日の大幅利下げ以降、アメリカの長期金利は上昇している。
だからタイミングは完璧だったのだが、ドラッケンミラー氏はポジションの大きさには不満を持っているようである。
もっと多く空売りしておくべきだったのだろうが、金利はもうかなり動いてしまった。
これについてはそもそも空売りの直後にドラッケンミラー氏はかつての上司であるジョージ・ソロス氏に言及して次のように言っていた。
ジョージが聞けばもっと大きなポジションにするべきだったと叱責するだろう。
この自己反省は結局正しかったようだ。
ドラッケンミラー氏は次のように現状を報告している。
現状、保有資産の25%を10年物国債の空売りにあてている。
長期金利の見通し
アメリカの金利はこれからどうなるのか。空売りを続けているということは、ドラッケンミラー氏は金利はここからまだ上がると考えているということだ。
では金利は何処まで上がるのか? ドラッケンミラー氏は次のように説明している。
長期金利は現在4.5%ぐらいだ。長期金利は名目GDP成長率まで上がっても不思議ではないから、インフレが4%か4.5%まで上がり、経済成長率が2.5%か3%になると仮定すると、長期金利は6%か7%になることになる。
それを予想するわけではないが、アメリカ経済が減速しておらず、インフレが本当にここから再加速してゆくなら、金利はそうなるだろう。
それは長期金利がここから2%も上がることを意味する。金利が上がれば、資金は株式市場から国債市場や預金に吸い込まれる。
株式市場は大丈夫なのか。ドラッケンミラー氏はこのインタビューで株価についても語っている。また別の記事で紹介したい。