ジョージ・ソロス氏のクォンタムファンドを長年運用していたことで有名なスタンレー・ドラッケンミラー氏が、ノルウェーの中央銀行であるノルウェー銀行によるインタビューで、アメリカのインフレの展望について語っている。
アメリカのインフレと金利上昇
ドラッケンミラー氏はアメリカ大統領選挙で選出される新大統領の景気刺激によってインフレが再発することに賭け、米国債を空売りしている。
ドラッケンミラー氏の予想は当たり、大統領選挙の前後でアメリカの長期金利は上昇している。
アメリカのインフレ率は下がってきているが、ドラッケンミラー氏はアメリカ経済が弱っているとは思っていないようだ。
ドラッケンミラー氏は次のように述べている。
わたしはマクロの投資家として知られているが、わたしはマクロをミクロの側から見る。
だから経済について個別の企業が言っていることに耳を傾けているが、景気減速の兆候はまったく見られない。住宅市場ぐらいだろうが、それはかなり高いところから下落しただけだ。
これは、これまでアメリカ経済の減速を予想的中させてきたジェフリー・ガンドラック氏の予想とは異なっている。
インフレ第2波へ
ドラッケンミラー氏はアメリカのインフレについてどういう予想図を描いているのか。ドラッケンミラー氏は次のように述べている。
インフレが始まった2021年からずっと頭から離れないのは、1970年代のインフレ時代を繰り返しているのかどうかだ。
1970年代は、アメリカ経済が10%を超えるインフレになった時代である。当時のインフレ率と政策金利を並べると次のようになる。
ドラッケンミラー氏は次のように述べている。
1970年代には、OPECが原油価格を上げてインフレが生じ、景気後退になった。インフレ(訳注:恐らく政策金利の間違い)は確か8%から3%ぐらいまで下がった。
そしてインフレは再び上がった。その時のインフレの底の期間を今に当てはめると、そろそろ底が終わる。
ドラッケンミラー氏は、現在のインフレ率低下は上のチャートにおける一時的にインフレが収まっている時期にあたると言いたいのである。
彼は次のように続けている。
Fedが早すぎる勝利宣言をしたことをやや心配している。
結論
1970年代においては、インフレ率が下がったことで安心したFedは政策金利を下げたが、それがインフレ第2波へと繋がっていった。
このインフレ第2波シナリオは、まだ日本人の多くがインフレを意識してさえいなかった2021年に、筆者の知る限り世界で一番早く筆者が持ち出したシナリオである。
その後半年ほど経ってマクロ経済学者ラリー・サマーズ氏らが同じことを言い始めた。
例えばジョージ・ソロス氏が著書『ソロスは警告する』に掲載されている論考などでリーマンショックを事前に予想していたように、経済危機はかなり早い段階から予想できるものである。
そしてインフレ第2波シナリオについては、筆者の指摘から3年経った今、現実的なリスクとして著名投資家がこぞって話しているわけである。
ソロスは警告する