ドラッケンミラー氏: 米国が0.5%利下げをした日に米国債を空売りした

ジョージ・ソロス氏のクォンタム・ファンドを長年運用していたことで有名なスタンレー・ドラッケンミラー氏がBloombergのインタビューで米国債の空売りについて語っている。

アメリカ大統領選挙とインフレ

アメリカ大統領選挙まであと1週間と少しとなり、ドラッケンミラー氏も含め、新大統領のばら撒きによってインフレが再加速すると予想する著名投資家が増えている。

そしてその予想は今のところ当たっている。アメリカの景気減速で下がり続けていた金利が上昇に転じている。

また、ポール・チューダー・ジョーンズ氏などはインフレ予想でゴールドなどの買いを奨めており、金価格も上がっている。

米国債を空売りした理由

これまで長らく景気減速トレードが幅を利かせていたが、ここに来ての急展開である。

金利の上昇は国債の価格下落を意味しているので、最近国債の空売りを宣言したドラッケンミラー氏はタイミングも正しかったわけだが、ドラッケンミラー氏がタイミングを当てられた理由は何なのか。

ドラッケンミラー氏は次のように語っている。

米国債はFed(連邦準備制度)が0.5%利下げをした日に空売りした。それが間違いだと考えたからだ。そのポジションを今も持っている。

インフレ退治のために長らく高金利を維持していたFedは、米国時間9月18日に数年ぶりの利下げを行なった。しかも利下げ幅は通常の倍である0.5%だった。

市場はこれを当然ハト派と受け取ったはずだ。そしてセオリーで行けば大きく利下げすれば金利は下がるはずなのだが、まさにそれこそがドラッケンミラー氏が国債を空売り(つまり金利上昇を予想)した理由だという。

何故ならば、ドラッケンミラー氏は過剰な利下げがインフレを再燃させ、金利をむしろ上昇させると考えたからである。

そして見事にも長期金利はまさに9月後半から上昇に転じている。

アメリカの金利見通し

ドラッケンミラー氏はしばしばトレードのタイミングを完璧に当てる。そのドラッケンミラー氏は今後の金利の推移について次のように予想している。

金利が短期的にどうなるかの予想はこうだ。パウエル議長は間違っており、来年インフレは加速する。国債の金利は何パーセントも上がるだろう。

現在長期金利は4.2%まで上がっている。金利は何処まで上がるのか? ドラッケンミラー氏は次のように言っている。

わたしがいつも重視している黄金率は、10年物国債の金利は名目金利と同じくらいになるべきだというものだ。それは今5.5%だ。

更に、世界最高のトレーダーの1人であるドラッケンミラー氏は、自分の予想が間違った場合の推移について次のように述べている。

一方で、パウエル議長が正しかった場合も0.25%か0.3%程度予想の逆を行く程度だ。

だからリスクリワードで言えば国債の空売りなのだ。

ドラッケンミラー氏がいつも気にするのはリスクリワード比である。日本の金利上昇を予想して日本国債を空売りした時もそう言っていた。(その後日本の金利は上がっている。)

失敗した時の損失が少なければ、それだけ多く賭けられるからである。

ドラッケンミラー氏のトレード戦略はいつも参考になる。以下の記事も参考にしてもらいたい。