メディアと多国籍企業だけが騒いでいる中東からの入国禁止令を除けば、トランプ政権初の失態と言える。大統領補佐官に指名され、国家安全保障問題を担当していたマイケル・フリン氏が2月13日に辞任した。
報道によれば、フリン氏はトランプ政権発足前に在アメリカロシア大使のセルゲイ・キスリャク氏と会話した際に、トランプ政権はオバマ政権の決定した対ロシア制裁を緩和する可能性があることを示唆したとして、民主党などはフリン氏の辞任を求めていた。
正直なところ、アメリカのメディアが大騒ぎしている割にフリン氏の行動に何の問題があるのか分からなかったため、数十分を費やしてメディアの言い分を色々と読んでみたのだが、ようやく問題があると思われる箇所を一つ発見することが出来た。
メディアの言い分
メディアは様々な言い分を書いているが、例えば去年の大統領選挙後に敗北した民主党側であるオバマ政権が選挙にはロシアの介入があったと主張し、ロシア外交官を追放処分にしたことに対して、プーチン大統領は報復をしないと宣言し、以下のようなコメント(BBC)を発表した。
我々は誰も追放しない。(外交官の)家族や子供たちを、正月休暇をいつも過ごす場所から追い出したりしない。
そして逆にアメリカの外交官の子供達をクレムリンで行われる新年のヨールカ祭に招待するという大人の対応であった。これをトランプ大統領がTwitter(原文英語)で「彼はとても賢明だと前から思っていた」と賞賛するという一幕があったのだが、メディアはこの背景にフリン氏とロシア大使との対話があったのではないかと主張している。しかしそうであったとして、何が問題となるのかわたしには分からなかった。
フリン氏に問題があったのは、この対話を巡る政権幹部への対応である。メディアの批判を受け、ペンス副大統領がフリン氏に事実を問いただした時に、フリン氏は「対ロ制裁については大使と協議していない」と答えたそうなのだが、その後「一切話題に登らなかったかどうかは確かではない」と主張を変えており、ペンス副大統領に対して不誠実な対応だったということが問題となっている。フリン氏の辞任声明にもこの点についての謝罪が行われており、ロシアとの対話自体についての謝罪ではない。フリン氏は以下のように書いている。
ロシア大使との通話の内容について副大統領らに不正確な情報を報告してしまった。大統領と副大統領にはこの件について真摯に謝罪し、彼らは謝罪を受け入れてくれた。
フリン氏辞任の相場への影響
さて、投資家にとって問題となるのは、フリン氏の辞任が相場にどう影響するかである。特に懸念されるのはロシアルーブルの上昇トレンドが妨げられる可能性である。わたしはトランプ政権の親ロシア政策を根拠にロシア市場に一定の投資をしている。
この投資についてはトランプ政権の親ロシア政策という根拠が暗礁に乗り上げた場合、即座に撤退すると宣言してある。今回のケースについては中長期的影響は低いと判断し投資を継続するが、アメリカの政情については今後も注視してゆく。ドルルーブルはニュースを受けて僅かに上昇(ドル高ルーブル安)している。