スリーマイル島原発再稼働で米エネルギー会社の株価が暴騰

アメリカのスリーマイル島原子力発電所を保有するConstellation Energyの株価が大幅に上昇している。AIのための電力消費などでアメリカではエネルギー需要が急激に高まっており、スリーマイル島では原発の再稼働が決定したからである。

スリーマイル島原発

東日本大震災以来、原発は日本ではよく聞くテーマだが、アメリカの原発事情についてよく知っている日本人はあまり居ないかもしれない。

だがそれでもスリーマイル島の原子力発電所については聞いたことのある人もいるかもしれない。何故ならば、スリーマイル島は1979年の原発事故で有名だからである。

1979年、スリーマイル島の原子力発電所の原子炉の2号機がメンテナンス上のミスによりメルトダウンした。スリーマイル島は島という名前ではあるが、ペンシルバニア州を流れる川の中洲に立てられた原子力発電所であり、周辺には人も住んでいて、周辺住民が被爆しニュースになった。

その後、事故を起こさなかった方の1号機は2019年まで稼働していたが、当時はシェールガスの産出量増加などによってエネルギー価格が低迷していたため閉鎖され、廃炉が行われる予定だったものを今回再稼働することになったのである。

Microsoftとの契約

再稼働のきっかけになったのは、Microsoftとの契約である。Constellation EnergyはMicrosoftと20年間の契約を結び、スリーマイル島原発の1号機を再稼働してその電力をMicrosoftに供給するという。

Microsoftが電力を欲しがっている理由はAI需要である。AIには膨大な計算量が必要であり、膨大な計算を行なうためには膨大な電力が必要となる。

MicrosoftはChatGPTを運営するOpenAIにも出資し、AI関連サービスを提供しており、データセンターに電力が必要だったのである。

Microsoft創業者のビル・ゲイツ氏なども原子力発電によるエネルギーをAI需要に充てるべきだと主張するなど、原発推進派である。それで今回の決定に繋がったのかもしれない。

株価上昇

東日本大震災後の原発再稼働が日本の電力会社の株価を上げたように、スリーマイル島の原発再稼働もその所有者であるConstellation Energyの株価を高騰させている。株価は次のように推移している。

再稼働と電力供給は2028年からスタートする見込みである。

原子力発電とSDGs

こうした流れは脱炭素政策とも関連している。AIで電力需要が増加するなか、欧米人は火力発電を嫌うが、水力や風力では国全体のエネルギー需要を賄えないため、苦肉の策として原子力発電が注目されている。

日本人には大気を汚す火力発電と、自然をダムの底に沈めて作る水力発電や山を切り開いて作る太陽光発電の違いがよく分からないが、この西洋の政治的混乱から利益を受けるのはウランだとして、筆者は長らくウランの長期投資を推奨してきた。

ウラン価格は次のように推移している。

今回のスリーマイル島原発再稼働は、こうしたトレンドの上にあるものである。

そこに更にAIのトレンドが加わってくる。AIについては元々NVIDIAを推奨していたが、NVIDIAが大幅に上がったので今では次の銘柄としてCoherentとLumentumを推奨しており、そちらも株価が上がっている。

去年から個別銘柄の推奨の調子が良過ぎる。まだそれほど上がっていないのはプラチナだが、プラチナはインフレ対策であり、インフレ低下局面でもこれだけのパフォーマンスだということを喜ぶべきだろう。

だがそちらもインフレの状況によっては火を吹く可能性がある。スタンレー・ドラッケンミラー氏はインフレ再燃を予想している。