ここ1年の米国株で一番熱い銘柄はと言えばやはりAI銘柄だろう。AIと言えばNVIDIAが注目されているが、去年からNVIDIAの株価上昇を予想していた筆者は既に次の銘柄に乗り換えており、結果から言えばその乗り換えは正しかったようである。
AIとNVIDIA
AI銘柄と言えばまずNVIDIAである。それは今も変わらない。AIの複雑な計算を行なうGPUの生産を行なっている企業なのだから、NVIDIAなしにAIは成り立たない。
米国の株式市場では、ここ1年はNVIDIAの年だったと言える。株価は去年から2.5倍も上昇し、時価総額で全米3位の巨大企業にまで成長した。
だが株価は6月に天井を迎えてからは横ばいとなっている。理由は明快である。株価上昇によって去年のような明らかなバーゲンセールではなくなったからである。
NVIDIAを随分前から推奨していたスタンレー・ドラッケンミラー氏もポジションを縮小している。
次のAI銘柄Coherent
だが経験の豊かな投資家は相場にはサイクルがあることを知っている。AI相場は1つの銘柄が大きく上がっただけでは終わらない。
コロナ相場でも最初に巣ごもり需要を満たす銘柄が上がり、その後で他の銘柄も上がっていったように、上げ相場とは一番注目されている銘柄が上がるだけで終わるものではなく、次に別の銘柄が出てくる。相場の主役は移り変わってゆくのである。
そこでドラッケンミラー氏はNVIDIAのポジションを縮小した後で別の銘柄を大量に買い込んだ。
その銘柄こそ光トランシーバーを製造するCoherentである。
光トランシーバーとは何か。光ファイバーの中を通る光信号をデータに変換する変換器である。
何故そんなものがAI銘柄なのか。AIに対応するデータセンターでは多くのプロセッサーを並列させて処理を行なっており、プロセッサー間(サーバー間)のデータ転送の速度が致命的に重要となる。それでCoherentの作っているような高性能の光トランシーバーに大量に注文が入っているのである。
Coherentの1株当たり純利益は、最新のアナリスト予想平均で来年に2.91ドル、再来年に4.27ドルと、NVIDIA並みの速度で成長することが予想されている。
Coherentの株価
だがCoherentの株価水準はNVIDIAよりも大幅に安かった。だから筆者も財務諸表を確認した上で推奨記事を書いている。
先月のこの記事では次のように書いている。
18倍という株価収益率はS&P 500の平均よりもかなり安い。株価収益率は高成長企業ほど高くなるべきなので、2026年にCoherentがAI需要を受けて高い売上高成長率を維持しているならば、その株価収益率は有り得ないということになり、株価は上がらざるを得ない。
これはNVIDIAの株価が暴騰する前に筆者が説明した理屈である。
そしてその後どうなったか。Coherentの株価は次のようになっている。
Coherentを紹介した時の株価水準から25.9%の上昇である。
因みに光トランシーバーのシェア2位であるLumentumも以下の記事で紹介しておいた。
こちらも株価は16.9%上昇している。
1ヶ月間の投資結果としては上々ではないか。
結論
ということで、CoherentとLumentumに関する見通しは今のところ的中している。去年のNVIDIAと同じような状況になっていたのだから、当たり前と言えば当たり前である。
ちなみにCoherentとLumentumの違いは、業界1位のCoherentの方が優位性のある一方で、Lumentumは成長産業である光トランシーバー以外の売上がCoherentより少ないということである。結果としてLumentumの方が利益成長率は高いと予想されている。
この株高は何処まで行くだろうか。現在、Coherentの株価収益率は、2026年の利益予想を元に考えれば21倍である。
筆者の予想では、紹介した時の水準から見て50%から100%ぐらい上がるのではないかと考えているので、まだ上昇余地はあることになる。株価で言えば110ドルから150ドル程度までということである(150ドルまで行くかどうかは今後の売上の推移による)。
だがアナリスト予想は厳密ではないので、上の株価レンジに拘らず、各四半期の決算を随時確認して逃げるべき時には逃げる準備はしておくことである。今のところ、この投資は非常に上手く行っている。
米国株全体のトレンドにも注意されたい。