ガンドラック氏: 米国のインフレ率は数ヶ月以内に1%台まで下落する

DoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏が自社配信動画でアメリカのインフレについて語っている。

アメリカのインフレ減速

コロナ後の現金給付により一時は9%まで上がったアメリカのインフレ率だが、その後の利上げの結果、最新の数字では遂に2.6%まで下落している。

それでFed(連邦準備制度)は5.25%まで利上げした政策金利を、来週のFOMC会合でインフレ後初めて利下げしようとしている。

ガンドラック氏はこの状況を次のように説明している。

Fedは強力な引き締めを保ってきた。

政策金利からインフレ率を引いた実質金利はほとんど20年間でもっとも高い水準にある。

Fedは来週の会合でほぼ確実に緩和を開始するだろう。

インフレ率は2.6%まで下がったが、政策金利は5.25%に上げられたままだ。差し引きの実質金利が高くなっているということは多くの人が指摘してきた。

米国のインフレ見通し

ガンドラック氏は長らくアメリカのインフレ減速を予想してきた。時間は掛かったが、その予想はようやく実現しようとしている。

2%台まで下落してきたインフレ率だが、ガンドラック氏はその後どうなると予想しているのか。ガンドラック氏は次のように続けている。

今後6ヶ月でアメリカのインフレ率は大きく下落するだろう。

理由は原油価格がここ数ヶ月で急速に下落しているからだ。原油価格は3ヶ月でおよそ25%も下落している。

もし原油価格がこのまま60ドル半ばで推移するならば、インフレ率はあと数ヶ月で2%を下回り、1%台になるとわれわれは予想している。

インフレ率に大きな影響を及ぼす原油価格は以下のように推移している。

結論

筆者も原油価格の下落が止まっていないことは気にしていた。また別の記事で書こうと思うが、そこには理由があるように思える。

この状況が続けばどうなるか。ガンドラック氏は次のように述べている。

そうなればFedはインフレ率が目標を下回ってしまう可能性について話し始めるのではないか。コモディティ市場が今のままに留まれば、インフレ率は来年にかけての数ヶ月、2%以下に留まるだろうからだ。

金利先物市場は既に来年末までに2.5%の利下げを織り込んでいる。だがそれは現在のFedの主張を元にしたものである。

だがそこから更にFedのパウエル議長がインフレ率が下振れする可能性について語り始めるとどうなるか。ガンドラック氏の盟友デイヴィッド・ローゼンバーグ氏の予想が当たることになるかもしれない。

11月の大統領選挙でドナルド・トランプ前大統領が当選すれば景気対策で好景気相場へと転換する可能性もあるが、カマラ・ハリス副大統領との討論会の後ではトランプ氏当選の確率を下げて考えざるを得ないのではないかと思い始めている。

景気減速をメインシナリオとする投資家が増えてきた。それはある意味ではやはり2016年の状況に似ているのだが。