ポールソン氏: 米国は利下げまで待ち過ぎた、金利はこのまま下がってゆく

リーマンショックを予想したことで有名なジョン・ポールソン氏がBloombergのインタビューでFed(連邦準備制度)の金融政策について語っている。

アメリカの利下げ

コロナ後の物価高騰の数年のあと、Fedはついに利下げをしようとしている。インフレ抑制のために5.25%まで上げられた政策金利が今月のFOMC会合で下げられる予定である。

アメリカの政策金利は次のようになっている。

一方で、5.25%まで上がった金利の影響でアメリカ経済には減速の兆候が見られる。以下の記事で説明した失業率の上昇である。

アメリカの失業率はかなり危険な速度で上昇している。

利下げは遅すぎたのか

だが一方で実質経済成長率はまだ3.1%と高い。この状況をどう見るか。このタイミングでの利下げ開始は妥当なのか。

ポールソン氏は次のように言っている。

インフレ率が今どうなっているかと言えば、3%近辺で推移している。金利は5%だ。だから(差し引きの)実質金利は高過ぎる。

Fedは恐らく利下げするまでに待ち過ぎた。

ポールソン氏はもっと早く利下げすべきだったとの意見のようである。筆者は最近の株式市場の不安定化は経済減速が原因と見ており、もっと早く利下げしていれば少なくともその状況は防げたかもしれない。

ポールソン氏はこのまま金利が下がると見ている。現在5.25%となっている政策金利の2025年末の水準についてポールソン氏は次のように言っている。

予想は難しいが、わたしの予想では3%くらいではないか。もしかすると2.5%かもしれない。

金利先物市場では2025年末に2.75%まで下がる予想になっているので、ポールソン氏は市場予想がそのまま正しいと考えているようである。

結論

筆者にとってそれは意外である。筆者は金利がそのまま下がってゆくとは考えていない。ポールソン氏が指摘している実質金利が高いという主張も、財政赤字が増加しているのだから当然だというラリー・サマーズ氏の考えを支持する。

だがポールソン氏は利下げが経済にとってプラスになると考えている。彼は次のように続ける。

利下げは全体的に言って経済に良い影響をもたらすだろう。

住宅ローンを借りるときの主なコストは金利だ。住宅金利のコストが下がれば低いコストで家を買うことができる。

より多くの人が家を買えるようになる。そしてそれが新たな住宅建設を促進する。

ポールソン氏は何処までも前向きである。だが仮にトランプ氏が当選して、大規模な景気対策を行い、2016年のように高金利相場にならないとポールソン氏は本気で考えているのだろうか。

ポールソン氏を信じるならば、例えばドル円の下落はこのまま続くのだろうか。一方で筆者やサマーズ氏の考えではドル相場は逆方向に行くことになる。

読者はどう思うだろうか。ポールソン氏は財政赤字についても語っているので、また別に記事を書きたい。