イーロン・マスク氏、牛から出る二酸化炭素を理由に畜産業に反対するリベラルたちを批判

電気自動車メーカーであるTeslaのCEOで最近ではTwitterの保有者でもあるイーロン・マスク氏が、Twitterにおけるドナルド・トランプ前大統領との対談で脱炭素政策について語っている。

マスク氏と脱炭素政策

マスク氏は電気自動車メーカーのTeslaのCEOであり、そのビジネスは化石燃料からいわゆる再生可能エネルギーに移行する脱炭素政策と深い関係があった。

電気自動車は端的に言って不便である。充電に時間がかかり、充電できる場所も多くない。バッテリーが寒さに弱いという弱点もある。

それでも電気自動車を買っていたアメリカやヨーロッパの人々の頭の中には、脱炭素がイケてるものだという考え方があった。マスク氏のTeslaは、そうした人々にデザインが良く速く走れる電気自動車を提供することで売上を上げてきたのである。

だからマスク氏は脱炭素政策を支持するリベラルなアメリカ国民のアイドルのような存在だったし、マスク氏の考え方と脱炭素を同一視し、マスク氏がやっている自動車メーカーだから買うという人も多かったはずである。

マスク氏の心変わり

だがマスク氏の政治観は最近大きく変わりつつある。

例えばTeslaはアメリカの州の中でもリベラル色が濃いなことで知られるカリフォルニア州を長年本拠地としてきたが、マスク氏はカリフォルニアのLGBT推進法が自分の子供に悪影響を与えたとしてカルフォルニア州知事と対立し、Teslaは最近よりにもよって原油と天然ガスの州であるテキサス州へ本社を移転している。

また、以下の記事で取り上げたが、トランプ氏が暗殺未遂事件から生き延びたあと、マスク氏はトランプ氏を大統領候補として支持すると発表した。

トランプ氏は当然脱炭素政策を目の敵にしている。脱炭素政策を推進してきたのは民主党のバイデン政権である。

だがマスク氏は今や次のように言っている。

原油と天然ガスの産業や、経済に必要なエネルギーを供給するためにそこで勤勉に働く人々を悪く言うべきではないと思う。

原油や天然ガスの利用を今すぐに停止してしまえば、私たちは皆飢えて経済は崩壊するだろう。

これは2021年にバイデン氏の脱炭素政策で原油が足りなくなり、エネルギー価格が高騰した時に多くの人々が言っていたことである。

また、マスク氏はバイデン大統領がアメリカのパイプラインを不承認にした上でロシアのパイプラインを承認したことを踏まえた上で、次のように言っている。

他の国に供給させるくらいなら、アメリカが供給した方が良いだろう。

マスク氏、過激なリベラルを批判

ただ、マスク氏は再生可能エネルギーへのシフトという信念を完全に捨てたわけではないらしい。マスク氏は次のように言っている。

ただ一方で、経済は少しずつ持続可能なエネルギーにシフトしてゆくべきだと思う。いずれ原油や天然ガスは枯渇する。それらは無限ではない。

だが、すぐに化石燃料をなくすべきだとか、動物は二酸化炭素を発するから畜産を止めるべきだとか言っているリベラルたちについては次のように言っている。

だがかなり時間はある。だから酪農家の人々に酪農を禁止したり、人々がステーキを食べることを禁止したりする必要はない。

酪農家の人々は放っておいてやれ。

結論

動物が二酸化炭素を発することが本当に気になるなら、まずは自分が息を止めることから始めてはいかがか。

さて、ということで、トランプ氏の支持に回ったマスク氏は、Teslaの顧客であるリベラルな人々から距離を置いてしまったようである。Teslaはどうなるのか。顧客はそれでもTeslaの車を買うのか。Teslaの株価は次のようになっている。

LGBT推進法を批判したり、最近のマスク氏はほとんどアメリカの保守派のようである。

これは筆者の予想だが、Teslaが十分に成功したためにマスク氏は商業的成功にあまり興味がなくなったのだろう。これまではTeslaの車を売るためにリベラルのふりをしてきたが、最近になってビジネスに興味がなくなり、本音が出てきたのではないかと思う。