11月のアメリカ大統領選挙で再選を目指すドナルド・トランプ前大統領がイーロン・マスク氏のインタビューで原油や天然ガスを運搬するパイプラインについて語っている。
ロシアとトランプ氏
話題はロシアとの関係から始まる。トランプ氏は次のように言っている。
プーチン氏とは良い関係を築いていた。ヒラリー・クリントン氏とアダム・シフ氏によって捏造されたでっち上げのロシア疑惑を除けば。
トランプ氏は2016年の当選から数年間、「ロシア疑惑」に悩まされていた。これは民主党の政治家が始めたもので、トランプ氏が大統領就任前にロシアの大使と会っていたことからロシアとの共謀があったと民主党が何の根拠もなく主張していたのだが、その後証拠が見つからないのでCNNの記者がでっち上げるなどし、更に炎上した一件である。
では実際にトランプ政権がロシアに対してどうだったかと言えば、トランプ氏とプーチン氏が対話をしていたのは事実だが、一概に親ロシアとは言えない政策を取っていた。
ノルドストリームへの制裁
例えばどういう政策かと言えば、トランプ氏は次のように言っている。
わたしはノルド・ストリームを停止させた。
ノルドストリームはロシアがヨーロッパに天然ガスを輸出するためのパイプラインである。トランプ氏は大統領だった時にこのノルドストリームに対して経済制裁を課し、ビジネスが出来なくさせていた。
このノルドストリームはロシア・ウクライナ戦争開始から半年後の2022年9月に何者かによって爆破されるのだが、これはそれよりも前の話である。
ノルドストリームはトランプ氏が制裁してから爆破されるまでずっと停止していたわけではない。
その間にバイデン氏が何かをしている。バイデン氏は何をしたのか。バイデン氏は脱炭素政策を推進する大統領として知られており、化石燃料を減らすためにアメリカ国内の原油や天然ガス事業に制限をかけていた。
そのバイデン氏がノルドストリームに何をしたのか。トランプ氏は次のように続ける。
だが現在のどうしようもない大統領がやって来て、アメリカのパイプラインであるキーストーン・パイプラインを停止に追いやり、そして代わりにロシアのノルド・ストリームを再開させた。
バイデン大統領は確かに2021年に脱炭素を理由としてアメリカにあるキーストーン・パイプラインの拡張工事に不許可を出し、同じ年にロシアのノルド・ストリームを再開させている。
マスク氏も笑いながら「意味が分からない」と言っている。
脱炭素とは何だったのか。何故アメリカのパイプラインを停止してロシアのパイプラインを動かすのか。意味が分からない。それがバイデン大統領である。
キーストーン・パイプライン
だが今日のメインテーマはバイデン氏によって停止されたキーストーン・パイプラインの方である。
トランプ氏は次のように言っている。
バイデン氏はキーストーン・パイプラインを停止させた。アメリカのパイプラインで、48,000人の雇用を生むはずだった。
キーストーン・パイプラインは厳密に言えばカナダの原油パイプラインで、カナダの採掘現場からアメリカの精油施設までを繋いでいる。
このパイプラインは部分的に建設されており運用されているが、最後の建設経路だったキーストーンXLパイプライン計画が脱炭素政策の標的となった。
だからこのパイプラインの話はアメリカで脱炭素政策が具体的にどのようにエネルギー事業を妨害しているのかを知る良い機会になるだろう。
トランプ氏は次のように述べている。
オバマ氏はキーストーンXLパイプラインの建設を許可しなかった。わたしは大統領になって最初の週に許可した。
オバマ氏の不許可の理由は脱炭素政策である。それをトランプ氏が就任して早々に許可を出した。
キーストーンXLパイプラインはそのまま建設が進んでいたのだが、これをバイデン大統領が就任初日に不許可としたのである。
結論
キーストーンXLパイプラインの計画は結局その半年後に破棄された。オバマ氏とバイデン氏に阻まれ、いつ完成するか分からないものとなってしまったからだろう。
トランプ氏は民主党によるこうした脱炭素政策を元に戻すことを公約にしている。破棄されたキーストーンXLパイプライン計画が復活するのかどうかは不明だが、民主党政権下では出来なかった同じような事業が出来るようになることは間違いない。
それでキーストーン・パイプラインを保有するTC Energy(カナダの会社である)の株価は上がっている。
トランプ氏当選でエネルギー関連株に有利とは言うが、具体的にはこういう銘柄にとって有利になるということである。
トランプ氏は同時に原油価格を下げるという公約もしているが、そちらについては以下の記事を参考にしてもらいたい。