トランプ前大統領、自らの口で銃撃された瞬間について語る

11月のアメリカ大統領選挙に出馬しているドナルド・トランプ前大統領がイーロン・マスク氏によるインタビューで、7月13日に演説中に銃で撃たれた暗殺未遂事件について自分の口から語っている。

トランプ氏暗殺未遂事件

7月13日、トランプ氏はペンシルバニア州で演説中に20代の白人男性に銃撃された。

銃弾はトランプ氏の耳を貫通したが、頭は無事だった。シークレットサービスが即座にトランプ氏に覆いかぶさったが、その後のトランプ氏の行動が話題になっている。

マスク氏はこの暗殺未遂事件の直後にトランプ氏を支持すると発表した。マスク氏は次のように言っている。

暗殺未遂の直後のあなたの行動は印象的だった。逃げ出したり伏せたりするのではなく、拳を高く振り上げて「Fight、Fight、Fight!」と言った。

アメリカ合衆国大統領はアメリカを象徴する人物だ。そしてあれこそがアメリカだと思った。窮地にいる者の強さだ。それがあなたを大統領候補として支持したいと考えた理由の1つだ。

ちなみにその瞬間の写真が次のものである。

あまりにも出来すぎた写真である。この暗殺未遂のあと、トランプ氏の支持率は上がった。

トランプ氏、暗殺未遂を語る

この暗殺未遂事件について、マスク氏は本人の口からその時のことを聞きたがった。あれはどうだったのかとマスク氏に聞かれ、実際に殺されかけたトランプ氏は当たり前だが次のように答えている。

まあ快適な気分ではなかった。正直に言えば。血が流れていたし。自分にあれほど血があるとは知らなかった。後で医師たちが耳にはたくさんの血が流れていると教えてくれた。

だが耳で良かった。銃弾の角度が良かった。

この暗殺未遂事件では銃弾の角度が奇跡的だった。人間の頭の構造を考えた上で、耳には当たったが頭には当たらなかったということがどういうことか考えてほしい。

それはほとんど奇跡的な角度だった。頭の向きが少しでも違えば確実に頭に当たっていただろう。

銃弾が当たった瞬間についてトランプ氏は次のように言っている。

それが銃弾だということは即座に分かった。耳に当たったことも即座に分かった。直撃したが耳だった。人々が「銃弾だ! 銃弾だ!」「伏せろ! 伏せろ!」と叫んでいるのが聞こえた。

わたしはすぐに伏せた。うまく伏せられた。その後すぐにわたしの頭の上を銃弾が飛んだ。伏せて良かった。

それよりも奇跡的だったのは、狙撃手の方向をまっすぐ見ていたことだ。だから銃弾の角度が一番危なくない角度になった。あれは奇蹟だった。

奇跡的な生還というのはトランプ氏の支持層であるキリスト教保守派に受けがいい。トランプ氏は次のように言っている。

神を信じない人々も考えてみるべきだ。わたしは元々信者だが、今ではもっとそうだ。

だがトランプ氏には神の他に感謝しているものがあるらしい。それは不法移民の推移を書いたスライドである。

トランプ氏は自分の頭の向きが変わった理由について次のように述べている。

それもすべて移民の数が減ったグラフを見ていたからだ。元々このグラフが好きだったが、今ではもっと好きだ。

トランプ氏は「不法な移民のおかげで命が助かった」と冗談も言っている。

暗殺未遂事件の被害者たち

一方で、この日の事件では死傷者も出た。トランプ氏の他に撃たれた人が出たからである。

そして1名は亡くなった。聴衆の1人で、妻や娘を庇って銃弾に撃たれたという。トランプ氏は次のように言っている。

偉大な消防士のコーリー氏を失った。偉大な紳士でわたしの支持者だった。彼は素晴らしい父親で、素晴らしい人間だった。

わたしの友人が来て、遺族をサポートしてもいいかと言ってきた。わたしが構わないと言ったので、彼は奥さんに100万ドルの小切手を渡した。奥さんは、大変有難いが夫が戻ってくるならそれが一番いいと言った。

美しい言葉だ。彼女は偉大な人で、遺族はみな偉大な人だ。

だがそれでも被害者は最小限に留められた。何故ならば、犯人は5秒以内にシークレットサービスに射殺されたからである。

犯人は会場の近くの建物の屋根からトランプ氏を狙撃した。何故彼が銃を持って屋根を登れたのかという話もあるが、トランプ氏は次のように言っている。

シークレットサービスの狙撃手にも感謝しなければならない。

彼は5秒以内に問題を認識して遠く離れた場所から1発で狙撃した。

彼の完璧な狙撃がなければ、もっと多くの人々が負傷し、殺されていただろう。彼には頭の下がる思いだ。

結論

これがトランプ氏が自分の口から語る暗殺未遂事件の顛末である。

この時のトランプ氏の行動に感動してトランプ氏支持に回ったマスク氏は次のように言っている。

ああいう状況で出る勇気は本物だ。勇気は本能的な行動であり、予行演習されたものではない。だからあの状況下でのあなたの勇気に多くの人を敬意を表しているのだと思う。

それは確かにトランプ氏支持者の感情なのだろう。この暗殺未遂を機にトランプ氏の支持率が上がり、バイデン大統領は出馬を断念し、副大統領のカマラ・ハリス氏に道を譲らざるを得なくなった。

トランプ氏は暗殺未遂事件の後の勢いに乗れるだろうか。筆者は実は、この件はあまり大統領選挙と関係がないと考えている。

例えば2016年のイギリスのEU離脱国民投票では、投票直前に離脱反対派の議員が殺害され、離脱反対に票が流れるかと思われたが、イギリス国民はEU離脱を選択した。

だから大統領選挙はトランプ氏の暗殺未遂とは無関係のところで決まるだろう。株式市場の行方にも大きく関係しているので、これからどうなるかである。