アメリカの元財務長官で経済学者のラリー・サマーズ氏がBloombergのインタビューで世界的な株安とFed(連邦準備制度)の金融政策について語っている。
8月の世界的な株価下落
8月に入って株式市場が荒れている。日本では特に大きな下落となったが、米国株も以下のようにほどほどに下がっている。
下落幅の大きかった日本ではより大きなパニックとなり、SNSではFedが緊急利下げをするというデマも流れた。
株価下落とFedの対応
アメリカの中央銀行は株安に対応するべきなのか? サマーズ氏は次のように言っている。
現状では株価はいくらか回復し、ボラティリティもかなり落ち着いた。
Fedは状況を注視すべきだが、現状を考えれば緊急利下げはパニックを助長し、過剰で、非生産的だ。
実際、利下げが株価下落を止められる状況は限られている。例えば2020年のコロナショックでは、株価の下落を止めたのは利下げではなかった。
利上げがインフレを止めるまでに時間がかかったように、利下げが実体経済に効くまでには時間がかかる。
株価下落は多くの場合それよりも早く進行するので、特殊なケース以外では利下げは株価の大きな下落を止められないのである。
Fedの利下げ
ということで、サマーズ氏は次のように述べている。
9月のFOMC会合で次の決断を下すまでにたくさんの経済データが発表される。
Fedはそれらを監視した上で、インフレ抑制と最大雇用の達成のバランスを取るために、それらすべての経済データを反映した決断を下すということを明確にするべきだろう。
今後のアメリカ経済の先行きと株価やドルの動向については以下の記事で説明しているので、そちらを参考にしてもらいたい。